香久矢まどかは、プリキュアであることを父親にかんづかれたらしい。たがいに探りあうように生活しながら、香久矢は生徒会のひきつぎや授業を淡々とこなしていく。そうして太陽に対する月でしかないと自認する香久矢のところに、ガルオウガが襲撃してきて……
前回につづいて村山功シリーズ構成の脚本。アームストロング船長の月面着陸時の名言を授業で引いて、月をテーマとした香久矢の身近な成長へとつなげていく。
天宮の香久矢への語りかけを人物を映さず波紋で表現したり、月へ向かって香久矢が飛んでいくイメージショットで結末を閉じたり、今作には珍しい表現主義が目につく。
物語に大きな動きはなかったのだが、それゆえ映像でいろいろな手法をつかう余裕があったのだろう。
そこで何より驚いたのは、後半のアクション作画。
まるで1980年代の山下将仁原画のようなエフェクト作画が連発し、黒々としたBL影のガルオウガ*1が、いつもより少し頭身の高いプリキュア*2とぶつかりあう。
最も新しい表現でも新井淳作画くらいでしか見かけない、平面的で荒々しい三日月のような透過光エフェクト*3。
いったい誰の仕事なのかと驚いてEDクレジットを確認したが、まさかフランシス・カネダの単独作監とは思わなかった。瞳が小さくデフォルメを抑えたキャラクター作画は、過去にアリス・ナリオとの共同作監回で感じたことがあるが*4。
前半に日本人原画マンも複数クレジットされ、小澤誠や飯飼一幸などの作画監督経験者も多いが、クレジット順番を信じるなら、アクションは後半に多数クレジットされたフィリピンスタッフの仕事だろう。
ただ、第31話*5のアクションにも少し似た印象があって*6、クレジットをつきあわせて同一の名前があれば、その人物の仕事という可能性もある。
そこでスタッフが何か情報を出していないかと調べたところ、今作では劇場版監督の田中裕太ツイッターで、芳山優とうかがわせるつぶやきがあった。
芳山さんだと思ったらやっぱり芳山さんだった。わかりやすすぎる。
— タナカリオン (@tanakarion) November 24, 2019
なるほど、第31話にも芳山優がクレジットされているので、これで担当パートは確定と考えていいか。
*1:13分54秒。
*2:14分4秒。
*3:14分13~14秒。
*4:『魔法つかいプリキュア!』第9話 さよなら魔法界!?みらいとリコの最終テスト! - 法華狼の日記
*5:今回とは演出も作画監督も異なるので、逆説的にそうしたメインスタッフが手を入れた仕事ではないことが推測できる。『スター☆トゥインクルプリキュア』第31話 守り抜け!最後のプリンセスのペン☆ - 法華狼の日記
*6:ただエフェクトのデフォルメ具合が今回ほど激しくない感じもある。