法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

参議院で消費税増税を決めた議員は、民主党より自民党が多かったことは記憶しておきたい

当時に与党だった民主党と、野党だった自民党公明党の合意で決められた消費税増税
そこで10月1日から混乱の要因として批判されている軽減税率は、民主党が決めたものだと公明党衆院議員である伊佐進一氏がツイートしていた。

もちろん軽減税率は公明党が主張したものであって*1増税前には公明党広報アカウントも「政党で唯一主張し、実現させました」ツイートしていた。

伊佐氏は消費税増税法案が可決後の2012年12月から議員となったが、それ以前は文科省副大臣の秘書官をつとめるような官僚だった。
十年もたたないのに、当事者に近しい政治家すら当時の状況を忘却しつつあるのか。


消費税増税そのものについては、当時に政権をとっていた民主党の責任を最も強く問うまでは理解できる。景気条項を自公政権が外した問題などを無視すれば。
しかし2012年6月の衆議院における採決では、まだ議員の比率は圧倒していた民主党から57名もの反対票が投じられ、15名が棄権した。もちろん自民党公明党から批判された。
「社会保障と税一体改革」について | コラム | 自民党の活動 | 自由民主党

今回の採決においても党内から57名の造反者がでたように、民主党はもはや政党の体を成していません。

わが党としては、社会保障と税の一体改革法案に一定の結論をつけた上で、早急な解散・総選挙により、「決められる政治、進められる政権」の実現に向け、国民の信を問うことを求めていきます。

衆院採決で大量造反 | ニュース | 公明党

3党幹事長が署名した合意の再修正は「常識的には考えられない」(公明党井上義久幹事長)。民主党は責任をもって党内の混乱を収束させ、速やかに審議を開始して一体改革関連法案の早期成立を図るべきだ。

このように自民党民主党を「何も決められない政治」と批判していた。消費税増税を決めたのは自民党だという自信すらうかがえる。
事実として自民党中川秀直氏のような欠席者こそ出したものの、目立った反対票が投じられることはなかった。
消費増税法案が衆院通過 賛成363票、反対は96票 :日本経済新聞

民主党で消費増税法案に反対したのは小沢元代表や鳩山元首相ら。羽田孜元首相、石関貴史氏、横山北斗氏の3人は欠席した。自民党では中川秀直元幹事長が欠席した。無所属では与謝野馨官房長官鳩山邦夫総務相が欠席した。

民主党は反対票を投じた小沢グループの除名などから分裂にいたり、単独過半数を維持できなくなり、むしろこの時から「何も決められない政治」となった。


さらに、2012年8月におこなわれた参議院の採決を見ると、賛否の比率が少し興味深いことになっている。
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付):本会議投票結果:参議院

投票総数 237   賛成票 188   反対票 49

まず、上記のように過半数どころではなく、賛成票が3倍以上を集めている。
ならば当然のように民自公の議員すべてが賛成票を投じたのかというと、民主党は6人もの造反者を出していた。

民主党・新緑風会( 88名)

  賛成票 81   反対票 6

田城郁氏、徳永エリ氏、水戸将史氏、有田芳生氏、植松恵美子氏、大久保潔重氏の6名だ。
一方、自民党統一会派をふくめて橋本聖子氏と丸川珠代氏の2名が出席しなかっただけ。

自由民主党たちあがれ日本無所属の会( 87名)

  賛成票 85   反対票 0

もともと議員数が拮抗していたこともあり、参議院での賛成票は自民党民主党を上回っているのだ。
ちなみに公明党は谷合正明氏が欠席しただけで、反対した議員はやはりいない。

公明党( 19名)

  賛成票 18   反対票 0

すでに厳しい処分がされることがわかっていたのに民主党から造反した議員たち。
その個々のふるまいは「決められない政治」ではなく、良し悪しはさておき「決められる政治」だったようにも思える。