法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ネコが会社をつくったよ/立体パズルハンマー

「ネコが会社をつくったよ」は、ドラえもんに見守られているのび太が、自分で起きて朝の支度を終えて学校へ行く。それには秘密道具の助けがあった。そんなのび太しずちゃんが相談する……
2007年に「ネコが会社を作ったニャ」というタイトルでアニメ化した原作を、清水東脚本に藤間謙太コンテ、田中薫作画監督でリメイク。街の風景をていねいに映像化していた。
ストーリーは原作どおりで、飼い主をさがして成功するのではなく、子猫たちが自立して継続的に稼ぐ状況へと導く。人間に対する支援を犬猫に仮託した物語といえるだろうか。
念のため、就業が生活支援のただひとつの正解のように子供が学んでしまうと問題ではある。健康で文化的な最低限度の生活は、自立しえない人間にも保障されなければならない。しかし支援の方法を子供たちが試行錯誤して一定の成功にたどりつく情景は、けして否定されるべきではない輝ける姿だとも思った。
今回のアニメでは、スネ夫が猫の写真をとり、パソコンで装飾や編集しながらチラシをつくる描写を追加。ジャイアンもチラシ配りに参加し、原作より広く力をこめて飼い主探しを描写。ちなみに原作の猫肉食という意味での「大好き」はさすがに改変され、愛玩の度がすぎる女性へと変更された。そうして全員が手をつくしたからこそ、八方ふさがりになったことにも実感をもてて、秘密道具の助けを借りる展開のカタルシスが増した。
また、冒頭でのび太がペットの餌を買ってきたり、原作でもいるネズミ顔の猫嫌い男をドラえもんが怖がったりする微妙なアレンジも良かった。ネズミを追い出す計画や、ペットショップから餌がとどけられる説明描写の前ふりになって、物語の流れが自然かつ強固になっている。


「立体パズルハンマー」は、2019年のアニメオリジナルストーリーの再放送。
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