法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第21話 虹色のスペクトル☆キュアコスモの力!

ついにキュアコスモへ変身したブルーキャットが巨大アイワーンを倒す。しかしアイワーンにダークネストが憑依し、人格を失ったかたちで強化復活した……


前々回から3話連続でつづくキュアコスモ誕生の完結編。脚本は村山功シリーズ構成で、演出は今作に初参加の座古明史。
板岡錦は原画に入るだけでなく作画監督もつとめ、他に濱野雄一や松浦仁美も特別にクレジット。大量のノットレイダーにプリキュアが対抗する長回しが、背景動画も活用して手間がかかっていた。


しかし敵首領が顔見せする以外は、登場人物も舞台もほとんど前回から変わらず、どこまでも順当かつ特別感のない内容に終わった*1。これまで今作が重視してきた物語の連続性が、良くも悪くも飛躍の距離を縮め、代償として堅実になったといったところ。
とはいえキャラクターを大事にしていることも間違いなく、それが物語の基礎を固めていて、安心して見ていられる。悪いことへの想像力が欠けていると星奈へ敵が指摘する回想に唐突さがなく、そこから復帰することで星奈という主人公のドラマとしても成立し、アイワーンをも救うプリキュアらしい展開につなげた。
また、ブルーキャットは前回の回想を説明づけるように両性具有をにおわす星人設定が語られ、ユニという本名ともども性別を越境しているキャラクター性が生まれた。
『スター☆トゥインクルプリキュア』第20話 銀河に光る☆キュアコスモ誕生! - 法華狼の日記

星の長の中性的な美形ぶりも、意外と男らしい声も合わせて、若宮アンリの発展形と感じさせて今後を期待させる。

逆にアイワーンがバケニャーンを忘れられない描写も多くて、けっこう主従百合の味わいもあった。そしてアイワーンがブルーキャットの宇宙船を奪って去っていったため、まだ星奈たちと距離のあるユニが地球へ同行する結末も、ふたりのキャラクターを同時に守った地味な技巧が冴えている。

*1:自身で歌いながら変身するプリキュアが、初めて歌なしで変身したことでシリアス感を出したりと、演出では感心するところがあったが。