法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』ウソみたいな結末SP

ゲストのひとりはボクシング世界王者の井上尚弥。減量時から計測後に体重を戻すまでの食事がスタジオで紹介されたのが興味深かった。
番組本編はいつもの空港税関や、ミステリチックなふたつの事件の紹介など。


税関はいつも以上に疑いが見当違いなことが多かった。こういう威圧的な公権力は全肯定しない作りのほうが見やすいし、風刺として力がある。明らかにおかしい書類が、見本用の書類を間違えて出したもので、基本的に会社の責任だったというエピソードが面白い。また、不法滞在を疑われないよう結婚することを隠していた香港系女性は、税関そのものが謎を作りだすという後期クイーン的な事件だったといえるかもしれない。


母親が家出した後、父親に世界中を連れられていった姉妹がいた。父親は滞在した国で結婚してはすぐ離婚。姉妹は親しい友人を作れない。そんな不思議な生活の真相は、実は母親は父親による虐待から逃れるためいったん家を出て*1、そこで父親は姉妹を連れまわして逃げていたというものだった。つまり一種の誘拐事件だったわけで、それが実父によるものというのがミステリらしい強烈な謎を生みだしたわけだ。


多発性硬化症の妻をかかえながらも、昇進して仕事にうちこみながら家庭を守ろうとしたトム・ヒックマンという男。息子の進学のためヒューストンへ移りながら、広くなった営業エリアをかけずりまわる日々。
しかしラボックという街へ解雇を伝えるために行ったはずが、500kmもはなれたニューメキシコの砂漠で死体として発見。いかにも強盗に殺されたように口をテープでおおわれ、後頭部を銃で撃たれていたが、その拳銃はなぜか近くのサボテンに風船とともに引っかかっていた。
捜査によってトムが風船を買ったことが判明。つまり真相は自殺であり、凶器を風船で飛ばして隠そうとした古典的トリック。ドラマ『CSI』から着想したそうで、トムがドラマ好きという前半の描写が伏線だった。妻の治療費と息子の進学費用のため投資して失敗、保険金をえるために殺人と見せかけるように自殺したわけだ。
一種の模倣犯とはいえ、フィクションそのままのトリックが、ちゃんと伏線をはって現実の事件で使われたのが衝撃的。しかしこの事件、以前にどこかの番組で紹介されたのを見たおぼえがあるのだが……

*1:姉妹を連れだせなかったのは妊娠していて余裕がなかったから。