ニッポン放送系の英語WEBメディア『grape Japan』に、東映アニメーションの内藤圭祐氏がインタビューされていた。
プリキュアが大切にする『多様性』と『自己肯定』 プロデューサー内藤圭祐氏にインタビュー – grape [グレイプ]
育児テーマでありながら多様な人生を肯定することで、あまり母性神話などに陥らず、安心して観ていられる。そういう作品を意識して作っていることが明言された。
今回、初めて人間の赤ちゃんを育てることになりますが、それこそ、両親がそろっていて、そこに生まれる赤ちゃんという家族像がモデルケースなんだよという見えかたには、絶対ならないように一番気をつけていました。
残念ながら、各話の細部においては境界線上に感じることもあったし*1、父親の育児参加の大切さを描きながら実践が古臭かったこともあった*2。
しかし、それは現代的な価値観を作品にとりこんだことが問題だったのではなく、現代的な価値観への更新が不充分だったがゆえの不協和音だったと今回のインタビューで理解できた。
また、あらゆる現代的なテーマにとりくむわけではないと明言したところも安心感がある。
ロボット倫理に対してのメッセージまでは踏み込んではおりません。あくまで、チーム『HUGっと!プリキュア』を構成する1人が、たまたまそういうアンドロイドだったというだけで、ロボットに関する哲学であるとか、までの議論を広げようという意図はありません。
テーマをしぼらなければ集団制作による物語をコントロールすることは難しいし、ただ社会的なメッセージを語りさえすれば良い作品になるわけでもない。
*1:全体としては良かったからこそ、部分的な疑問がしこりのようにわずかに残った。『HUGっと!プリキュア』第35話 命の輝き!さあやはお医者さん? - 法華狼の日記