法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

RADWIMPSの新曲「HINOMARU」の歌詞は、以前の「にっぽんぽん」と比べても古びて感じられる

サッカー番組の主題曲に決まっている「カタルシスト」のB面として発表されたとはいえ、その愛国的な内容が古すぎる。
RADWIMPSの新曲「HINOMARU」が波紋 「日出づる国の御名のもとに」 | ハフポスト

「風にたなびくあの旗に 古よりはためく旗に意味もなく懐かしくなり こみ上げるこの気持ちはなに」と問いかけからはじまり、「受け継がれた歴史」や「気高きこの御国の御霊」が登場する。

「日出づる国の御名のもとに」という言葉もあり、タイトルからも日本への愛国心をテーマに歌ったことがうかがえる。

他によく指摘されている部分として、「僕らの燃ゆる御霊」という尊敬語のつかいかたのおかしさや、「胸に優しき母の声 背中に強き父の教え」という性別役割観の古さがある。
http://j-lyric.net/artist/a04ac97/l0469f5.html
たとえば「御霊」には災厄を起こす怨霊という意味もあるが、そうした語義の広さを歌詞で活用する工夫も見られない。
すでに意味の固定されたありふれた表現ばかりならべて、ひたすら陳陳陳腐な印象を作りだしている。


もっとも、RADWIMPSが自国を題材にするのが今回が初めてではなく、前述の記事内でも言及されている。

作詞を担当した野田洋次郎さんの歌詞には、日本の歴史をテーマにした「にっぽんぽん」(味噌汁's名義で発表)などもあり、あえて保守色の強い言葉を使った「愛国的なものを皮肉る曲ではないか」という解釈もでていたが......。

たしかに「にっぽんぽん」は「HINOMARU」と比較して、「約200年も鎖国してたんだ」にはじまる明らかな皮肉もちりばめられていて、それが解釈の可能な幅を広げている。
http://j-lyric.net/artist/a04ac97/l02e9f4.html
へりくだった日本人が世界に語りかける構造は、矢島美容室の「ニホンノミカタ-ネバダカラキマシタ-」の、へりくだった外国人が日本をたたえる構造との対応だろうか。味噌汁という共通項もある。
http://j-lyric.net/artist/a04ebbe/l0137e2.html
これくらい工夫すれば、受け手にとって「鏡」になる歌という解釈もできるのだが、今回の「HINOMARU」はそうは感じづらい。