法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

もう柳沼和良氏については、いつ周知されるかという時間の問題ではあった

わざわざ英文を付記*1してツイートしたホロコースト否定論が国外で批判的に報じられ*2、いくつかのアニメ関連企業も声明を出している。
Crunchyroll Parent Ellation Posts Statement About Recovery of an MMO Junkie Director Kazuyoshi Yaginuma - Interest - Anime News Network

Crunchyroll's parent company Ellation posted a statement on Twitter on Friday regarding Anime News Network's recent report about controversial statements made by Recovery of an MMO Junkie anime director Kazuyoshi Yaginuma.

当社作品の監督名義によるSNS上での一連の発言につきまして | Signal-MD

(1) 同氏は、当社の従業員ではないこと
(2) 報じられている一連の発言が同氏自身によるものであったと仮定した場合であっても、一連の発言について、当社は「ネト充のススメ」の監督として発言されたものではないと認識していること
(3) 当社は、反ユダヤ主義を含む、いかなる民族的、歴史的差別又はそれらを支援、助長する活動を一切支持したことはなく、かつ、将来に向けても支持しないこと
当社は、今後も「感動する作品や、楽しめる作品を創り続ける」ことを理念とし、多くの視聴者に感動を与え、また、クライアントに満足していただける作品創りに努めてまいります。


ちなみに、以前からtwitterでの痛々しい発言は知られている人には知られていた。アニメーターとしての作風も、技術先行を嫌う本人の発言に反して、良くも悪くもアーティスティックなところがあった。
あまりにも陰謀論者として深みにはまりすぎていて、社会にはびこる愛国デマを半信半疑ゆえに半分加担するタイプというより、陰謀論が反体制にまでつながって国粋主義者からも切断処理されるタイプだった。著名人でいうとベンジャミン・フルフォード氏が近いだろうか。
過去のツイートの述懐を見ると、入り口は『NHKスペシャル』の「JAPANデビュー」だったそうだが、述懐した時点ではそれを懐疑していた。今件を見ても懐疑したからといって引き返せたわけではなく、さらに懐疑の深みにはまっていたというわけだ。

むしろ『ネト充のススメ』がクセのない穏やかな仕上がりだったことは、以前から柳沼氏を知っている人には意外性をもって受け止められていた感すらあった。


ひとりの演出家やアニメーターとしての参加にとどまらず、作品を統括する監督の立場になったからには、せめてこの機会にきっちり詰められてほしい。
それと同時に、柳沼氏の背景がどうであれ*3、自己の選択の結果として批判されるべきと考えつつ、それを止めるどころか加速させた社会の問題を思っている。
そしてホロコースト否定論という国外問題にまで発展しなければ、このように問題視できなかった社会の問題を思っている。たぶん「JAPANデビュー」への批判だけならば、日本のインターネットでは批判よりも賛同がまさったことだろう。

*1:こちらのはてなブックマークで、id:segawashin氏がグーグル翻訳を用いていると指摘しており、確認するとそのとおりだった。つまり既存の英文の引きうつしではないということ。はてなブックマーク - 【悲報】日本のアニメ監督がナチス礼賛、ホロコーストやアンネの日記は捏造と海外向けにツイートし炎上 : ユルクヤル、外国人から見た世界

*2:'Recovery Of An MMO Junkie' Director Under Fire For Anti-Semitic Tweets

*3:判断力が落ちる状況になったからといって、必ず陰謀論にはまるわけでも、国粋主義者になるわけでもない。間違ったことを選択した人格があることを否定してはならないと思う。