法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第4話 輝け!プリキュアスカウト大作戦!

野乃はなは、輝木ほまれをプリキュアにスカウトしようと考えるが、クラスメイトによると危ない噂が多いという。
しかしあきらめきれない野乃は、街で出会った輝木の、優しさと決断力を知る。さらに時間制止の体験談も聞いて……


田中裕太演出に、渡邊巧大作画監督で、とにかく映像面が絶品だった。
プリキュアならではの戦闘シーンは巨大感から重量感まで素晴らしく、日常シーンでも服のシワからデフォルメ演出までコミカルに動きつづける。
輝木の身体能力を印象づけるバスケシーンも、東映とは思えないほど映像だけで説得力があった。動かない背景モブすら、いきいきとした多様なポージングで作画。難しいアオリ作画も破綻していない。


そのような映像とともに、坪田文シリーズ構成の脚本で、とにかく今回は輝木というキャラクターの魅力を描いていく。
クールなのに可愛いものに目がなく、熱い心を隠しもち、身体能力も高いが、全力を出すことにためらってしまう。その複雑な迷いを野乃視点で描写しつづけ、それでもプリキュアの存在を転換点として、一歩を踏み出したいという願いへとつなげる。
そして作品の根幹につながる小道具「ミライクリスタル」を、文字通り「未来」の象徴としてつかもうとするクライマックスにいたり……そこで改めて挫折を経験する展開にしびれた。今年のプリキュアはいったん失敗する展開が序盤にあると小耳にはさんでいたが、ていねいにもりあげていっただけに、結末を知ってから見返しても落差の凄味は変わらない。
敵が利用したのが、輝木の指導者というところも小技がきいている。日常と戦闘のドラマが自然につながるだけでなく、輝木を挫折させた負い目が怪物化に利用されたことが、目前で輝木を挫折したことから弱体化へと反転し、新プリキュアが登場せずとも事態が収拾することに無理がない。