法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第47話 大好きをとりもどせ!キュアペコリンできあがり!

輝きが奪われた灰色の世界。宇佐美たちもプリキュアになる意思と能力を失い、無事なのはキラパティ鞄に入っていた長老とペコリンだけ。
敵幹部グレイブも復活するなか、ペコリンはひとりでドーナツをつくり、キラキラルをとりもどそうと奮闘する……


稲上晃作画監督で、世界規模の危機を、プリキュアがいない絶望的な状況として描く。
ペコリンのキャラクターを考えると、プリキュアになったからといって戦闘で強くてもおかしい。新規作画で変身や必殺技が描かれつつ、能力が足りないところを奮闘する描写は悪くない。
ペコリンたちが助かった理由として序盤に宇佐美の機転を描いたりと、レギュラーのプリキュアがほとんど活躍しないなりの見せ場も用意されていた。


しかし40話くらいなら印象的な前後編になったかもしれないが、最終決戦の一話前としては驚くほど絵に華がない。グレイブは格下の手先となっているだけなので弱く、通常回の怪物よりもあっさり処理される。
キュアペコリンの描写やプリキュアの復活にリソースをさいたためか、色を失った世界も作画が簡素すぎる。演出として考えると、いっそ絵をあまり動かさず、止め絵のシャープさを重視しても良かったか。
物語としても、古典的なだけで新味が足りない。敵の真の動機にしても、急に語られた問題提起なので、とってつけた感が否めない。たしかにビブリーのように敵を敵のまま受けいれる今作のプリキュアの多様性は、平和のために画一的な社会を求めるような敵とは正面から対立する。だからこそ、世界の安定を求めるという敵の目標を、ありふれたものとして流さず、念入りに描いてきてほしかった。
プリキュアシリーズは敵が襲ってくる構図が基本のため、戦いを止めるために戦いを手段とするという齟齬が敵に生まれてしまう。その葛藤をきちんとドラマとして昇華するか、あるいは敵幹部は首領の真意を知らなかったといったドラマを展開してほしかった。