法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第44話 雪に秘めた想い!愛をさけべ、あきら!

病気の妹を治すために、剣城あきらは医学研究の道を進もうと考える。しかし妹のみくは、自分が姉の未来をしばってしまったと思い悩む……


宇佐美が母にならってヒーローとなった第31話を受けるように、剣城も宇佐美母の写真を見て決意をかためていく。脚本も同じ田中仁シリーズ構成。
『キラキラ☆プリキュアアラモード』第31話 涙はガマン!いちか笑顔の理由! - 法華狼の日記

医療支援のため海外で活躍する母を認めて受けいれることは、プリキュアとなって戦う自分自身を認めるということ。場所は違っていても、心は同じところにあるということ。

一方、これまで快活に動きつつも庇護者にとどまってきた妹が、姉に救われないことを望むというかたちで自立しようとする。もちろん敵幹部にそそのかされるという作品フォーマットにそった展開ではある。
しかし妹の罪悪感までは、敵幹部の介在がなくても存在していた。母の道を娘も進むことを肯定し、そのために生活が制約されることを納得した第31話を、姉とはまた異なる視点で見つめなおした。
もっと踏みこめる余地もあったかもしれないが、姉妹のたがいへの思いやりをていねいに描いた、印象的な物語となった。


また、敵幹部がプリキュアの幼い身内をそそのかす展開で、サスペンスホラーな雰囲気にあふれていたのも良かった。そこから荒涼とした敵世界へプリキュアが初めて突入する。
輪郭が丸みをおびて、どちらかといえばゆるい青山充一人原画も、今回のように濃厚な陰影をつける場合は、肉感的な絵柄が効果的にはたらく。背景美術も良い仕事をしていた。
ただ必殺技が合体攻撃の関係で、あわただくしなってもプリキュア合流をせざるをえず、そのタイミングも中途半端になったのが残念。もうちょっとビブリーのドラマがあれば合流もおもしろくなったかもしれないが、そういう描写をするには尺が足りなかったか。