マクギリスはギャラルホルンを掌握したはずだったが、武力と権威で威圧しても他のメンバーはなびかない。
そんな約束とは違う状況に、恋人からも鉄華団からも批判されるが、それでもマクギリスは歩みを止めない……
大決戦に向けて静かにもりあがるドラマとしては嫌いではない。マクギリスと恋人の衝突は西田亜沙子作画ともども見せ場ではあった。ただ、全体としてドラマの基礎となる過去の描写が足りていない。
まず、自分たちで選択してきたつもりの鉄華団が状況に流されているだけと明確化されたことは悪くない。しかし結果として物語を牽引する主人公の立場が鉄華団からマクギリスに移ってしまった。しかもマクギリスについてきた青年将校が、どれも固有の信念を感じさせない浮ついたキャラクターで、鉄華団に比べても愛着を持ちづらい。
一方、ギャラルホルン主流派は良くも悪くも裏表がないから、ここまで出番があったなりの信念はそれぞれに感じさせる。「歴史」と「伝説」の違いをもって、マクギリスのたどりついた足場が否定されるレトリックは良かった。ただ、よりによって中心となるラスタルというキャラクターが、これはこれで個人としても派閥としても大きく状況を動かす描写がなかったから*1、声優の存在感と台詞回しくらいでしかカリスマ性を感じさせないのが難。