法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第26話 新しい血

時がすぎ、着実に地位をかためつつある鉄華団。クーデリアも火星独立のため奔走する。
ある日のこと、クーデリアのもとへ火星独立運動家が講演の依頼にやってくるが……


2期の第1話にして、通算すると第26話。番組では両方の話数が表記されていたが、とりあえず公式サイトの表記にならった。
Story-あらすじ-|機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
新キャラクターの見解を通して、1期から変化した敵味方の立場を描いていき、最後にハーフメタル採掘現場の戦闘でガンダムの見せ場をつくる。
コンセプトは明確だが、物語としては散漫。1期でドライな世界観をかたちづくっていた三日月という少年兵の活躍が冒頭の語りとクライマックスだけなので、ごく平凡なロボットアニメという印象しか残らなかった。


クーデリアに依頼する活動家の描写も感心しない。
もともとクーデリアの思想が活動家に影響されていると語られたが、その活動家の恩着せがましい言葉にクーデリアが肯定も否定もしないため、嘘か真かはっきりしない。
かつてクーデリアを会議に登壇させたことは事実らしく、それについてはクーデリアも「その節はお世話になりました」と返答したが、迷惑そうな表情で顔を伏せている。そして依頼は断り、規模が縮小した団体がクーデリアにすがりついてきたのだと切りすてる。これではクーデリアが活動家を踏み台として使い捨てたかのようだが、そのことに自覚的な描写とは感じられなかった。
たとえばここで当時が回想されて、無理やり登壇させられて便利な御輿としてかつがれた描写をすれば、1期で疑問を感じたカリスマ性のゆらぎ*1に説明がついたかもしれない。
1期におけるドルトコロニーの革命もそうだが、いかにもな活動家への嫌悪をそのまま描写する制作者の意図は何なのだろう。より実直に革命を目指している主人公側との対比表現であったなら理解できるのだが、1期はドルトコロニー側との共通点を主人公側が認識しないまま終わり、2期初回の今回は活動家と関係をもった自らの過去にクーデリアが向きあおうとしない。