法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第18話 声/第19話 願いの重力

2話をかけて、宇宙空間から地球へと移動しようとする鉄華団の奮闘が描かれた。


まず第18話冒頭のクーデリアの演説は説得力がいまひとつ。もともと高揚している身内ではなく、武力をもった敵対者へ向けた言葉だ。状況をゆるがす説得力のハードルが高く、これまで描写されたクーデリアのキャラクターで超えることは難しい。
ここは交渉だとわりきって譲歩を引きだすか、ジャーナリストが同行している状況を利用して陰謀の証拠をちらつかせるか。あるいは少数が大多数の兵力にとりかこまれている状況の苦しさを第三者へ向けて訴えるか。演説だけでは力不足になりがちなので、何らかの支えとなる理屈もほしかった。
仮面の正体にまつわる描写は、まあまあ悪くない。あっさりミカヅキが喝破することでテンポ良く、笑いにもつながっていた。


第19話の大気圏突破は、まずまずオーソドックスなつくり。そこに感情をあらわにせず戦いつづけるミカヅキと、自由気ままなキャラクターに見えて鉄華団の作戦にのって救助活動を優先するカルタの対比。
作画も安定して動きまわっていたし、ガンダム作品では珍しいワイヤーを利用した格闘戦も楽しめた。大気圏突破の新しい方法も見せられて、岡田麿里単独脚本としては驚くほど順当。
ただクライマックスの自己犠牲はつまらなかった。主人公側が火星で最初に戦った相手はことごとく物語の捨て駒にされてしまったことが残念。それでも第3話の自己犠牲は批判するという意図が明確だったのに*1、今回は平凡な描写というしかない。戦死はしていないにせよ、さてどうしたいのか。もしかして阿頼耶識システムを使うようになる前振りになるのか。