生徒会長という役職の存在を知り、立候補を決めたリコ。みらい、ことは、かな、まゆみも参加することで、順調に選挙運動がもりあがる。
一方、同じクラスの少年ゆうとも立候補。サッカー部の壮太に応援されつつも、なかなか注目を集められないでいたが……
脚本は伊藤睦美。ただ正論が勝つならともかく、きちんと葛藤を描こうとすれば難しくならざるをえない選挙エピソード。
どうしても違和感をもつことも多いが、真摯につくっていれば葛藤が良い意味で引っかかりを生む。
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上記2作品とはまた違った展開で、今作も印象深い物語にはなっていた。
まずリコは成績こそ良くても、あまりに権威主義的で、生徒会長にふさわしいとは思えない。実際に生徒会長になる動機も、リーダーという立場になりたかったためという側面が強い。だから選挙運動そのものは順調に成功しながら、リコ自身が違和感をいだいていくドラマとなる。
一方で、ゆうとも生徒会長という役職にふさわしいとは感じなかった。自分より人気者に応援されている立場は調整役らしいが、壊れた花壇の修繕は自分ひとりでやってしまう。もちろん細部に目配りできることは良いし、誰も見ていなくても善行をはたらけることは素晴らしいが、生徒会長という役職では同じように何でも自分ひとりでやるわけにはいくまい。名称からして「生徒」会長であるのに、「学校」を守ろうとしていることも違和感がある。自分が直した花壇より、近くにいるかもしれない生徒へ避難を呼びかけてほしかった。
そしてゆうとの敵への態度を受けて、リコはよりふさわしい候補のため辞退するのだが……しばしば現実の選挙でも見られることではあるし、さまざまな議論はあるだろうが、ふたりしか候補がいない状態から一方が降りるというのは、個人的に好ましく感じられなかった。それでもリコの行動が良いのか悪いのか何ともいえないが……しいて好みをいうなら、選挙はおこなって、僅差で敗者となったリコが勝者への信頼を語る結末がきれいかな、と思っている。
そうした本筋はさておき、リコのドラマの踏み台となった応援運動だが、それ自体がキャラクタードラマとして楽しくできていて、この種のエピソードにありがちなストレスは少なかった。
作画監督は伊藤公崇と赤田信人で、予告映像で予想していたより麗しい。特に前半が良かったが、クレジット順だとすると伊藤公崇の仕事か。
あと、かなの自慢気な台詞「まゆみはこういうの得意なんだ」には、下の名前で呼びあうようになった先週の今週でこれかと驚かされた。なんという距離の縮めかただ。
