法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ダジャレでやっつけろ!/裏山ウォータースライダー

今回は前後ともアニメオリジナル。小野慎哉作画監督らしい、シャープでていねいな作画。俯瞰のキャラクター作画のパースのうまさが目を引く。
ずっと『あたしンち』に参加していたパクキョンスンが、ひさしぶりに演出として登板。コンテ担当が異なる前後とも時刻による日照の変化がよく表現されていたのは演出段階の指示なのかな。


「ダジャレでやっつけろ!」は、口にしたダジャレが実現する秘密道具が登場。のび太はダジャレを酷評したスネ夫たちに復讐し、スネ夫とダジャレ対決を始めるが……
思いついた状況を順番につないでいるような構成で、ひねりも何もない。しかし質より量というべきか、ネタ本があるにしても大量のダジャレを連発したのはたいしたもの。映像にも力が入っているから、和歌の洒落に合わせて日本画風になったり、道路がドロドロになったり、CGの小惑星が逃げだしたり、ビジュアルの異様さだけで楽しくはあった。
あと、パパのダジャレは作中で酷評される*1わりには悪くないと思った。特に湯飲みが英語をしゃべって「ドゥーユーノーミー?」は不覚にも感心してしまった。空耳として有名らしいが、ひねりが入っていてシャレている。


「裏山ウォータースライダー」は、珍しくスネ夫がさそってくれたウォータースライダーが人の多さで使えず、秘密道具を使って身近に作ろうと試行錯誤するが……
リニューアル後もアニメ化された原作短編「水加工用ふりかけ」と同じ秘密道具と状況で、水をさまざまに変化させて遊ぶのではなく、ひとつの遊戯を発展させようとしていく。
滑る場面よりも、最初は野比家の屋内、次は神社の階段、最後は裏山と校舎というように、しかけを大がかりにしていく作業が楽しかった*2。身近な情景が変わっていく物珍しさもあったし、それでママがひどい目にあうギャグも笑えるひどさ。

*1:ただ、のび太の酷評をそのまま受けとるべきではないとも思う。簡単に思いつけるダジャレは言う側が楽しくて、ダジャレ好きでも聞く側になるとつまらないという表現と解釈すべきか。

*2:TVアニメとしてもこの作品としても充分に背景美術と作画ががんばっているが、やはりダイナミックなアクションは3DCGを活用する余裕がないとつらい。