法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』お客の顔を組み立てよう/ママをたずねて三千キロじょう

ひさしぶりに前後とも原作ありで、ほぼ忠実に映像化。演出は横田一平、作画監督は川重希。


「お客の顔を組み立てよう」は、謎の来客をさがすため顔の部分ごとに合成して容貌を変える秘密道具が登場。それで見知らぬ男の顔になったのび太だが……
いかにも原作初期らしい人体改造ネタ。コラ画像のように顔だけすげかえた主人公の姿の違和感が良い意味ですごい。後半のさびれた作業場の背景美術も良かった。
ただ、追う警官の数が多いのと、終盤の警察との関係が原作より複雑になっているくらいで、全体として原作と大差なく、特に感想はない。


ママをたずねて三千キロじょう」は、しかってくる母親に会いたくないと、自分から一定の距離を移動しないと会えなくなる薬をのむ。それでも最初は一粒だけにしたのだが……
最初は興味本位で薬の効果をたしかめ、それで母親に怒られ、二度と会いたくないと思いつめる。そこまでは原作通りなのだが、一生会えないかもしれないと聞いてパニックになるまでが早すぎる。原作では静かに不安が増していき、抑制された筆致で登場人物の心情の変化をしっかり描いていた。
今回のアニメは、ちょっと感動させようと筆が走りすぎているきらいがある。のび太なりに長い距離を歩きつづけ、高台にまでたどりつくオリジナル描写は良かったのだが。