法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』イリュージョニストノビー~クリスマスの奇跡/植物ペン

イリュージョニストノビー~クリスマスの奇跡」は、スネ夫ジャイアンが大がかりな切断マジックを披露。のび太は対抗するため秘密道具の力を借りようとするが、ドラえもんは大半をメンテナンスに出していた……
清水東脚本、鈴木大司コンテ演出のアニメオリジナルストーリー。途中でスネ夫ジャイアンがサンタとトナカイのコスプレをしているところに出くわしたり、クリスマスも意識したイベント回になっている。
夢たしかめ機などの使い道の少ない秘密道具を工夫するだけでなく、偶然に助けられる局面も入れているのが逆にいい。先読みを難しくして、御都合主義な雰囲気も軽減。のび太を必死でフォローしようとしてドラえもんがひどいめにあうところは、かわいそうでかわいい。
そして成功に夢かと思うのび太に、夢たしかめ機がおそってくる。ちゃんとそれもふくめて秘密道具をつかいきった後なので、不意打ちされて感心した。このオチは「イリュージョン」というテーマにもあっていて、きれいにまとまっている。


「植物ペン」は、花壇がほしいしずちゃんのためスネ夫が花をプレゼントする。のび太は対抗しようとするが、アサガオも枯らしてしまうと母親には断られてしまう。そこでドラえもんに秘密道具を出してもらい……
半年ぶりのパクキョンスンコンテで、長らく単行本未収録だったカラー作品をアニメ化。読んだことはあるはずだが、記憶に残っていなかったので、新鮮な気持ちで視聴した。
前半の植物が不自然に大きくなるだけでは安易な展開としか思えなかったが、組みあわせで色々な果実がなる樹木をつくったり、植物のくみあわせで滑り台のようにしたり、ちゃんとバイオテクノロジーSFらしい面白味が出てくる。
さらにチラシの裏をつかう描写をわざわざ入れていることから何か関係してくるのかと思ったら、花びらに答案の回答が見える描写から、チラシの商品が植物にまじる描写へ発展。残念ながら設定の整合性は感じられないが*1、いかにも人を食べそうな巨大ウツボカズラの中がお菓子で満ちている逆転は楽しい。ウツボカズラのなかで生存する昆虫が発見されていることから、生物学的な納得感もある。
natgeo.nikkeibp.co.jp

*1:たとえばペンのインキが裏までにじむことで秘密道具が裏の印刷にも作用する、といった説明がほしいところ。