季節ネタの前半と、ほぼ原作に忠実な後半と。
「ハロウィンとのびガエル」は、のび太がしずちゃんの仮装を助けるためにスペアポケットから出てきた杖を貸してあげる。のび太自身は王子様の仮装をするのだが……
グリム童話『蛙の王子様』をモチーフにした物語。うまい仮装を競いあう導入が、そのまま秘密道具「動物変身ステッキ」による騒動へとスムーズにつながる。しかし、せっかくだから終盤のコンテストでも多様な仮装を競えば良かった。
秘密道具については、ただの杖とかんちがいする描写はほしかったが*1、変身を解除する「解除用リップ」をめぐるかんちがいはよくできている。ただ、ホモフォビア的なギャグは原作でもよくあったが、現代では気にかかる人もいるだろうか。
「誕生！まんが家クリスチーネ先生」は、自信作『愛フォルテシモ』を描きあげたジャイ子の背中を押してやろうと、のび太やジャイアンが協力するのだが……
原作でも印象的な、ジャイ子が商業誌に認められるエピソード。秘密道具「思いきりハサミ」は決断を後押しするだけで、さまざまな本心をあばく「正直太郎」のようなヒネリすらない。ジャイ子以外の決断の結果が描かれないのは原作通り。あくまで今回はジャイ子のドラマなのだ。
ほぼ原作に忠実なアニメ化だが、タイムマシンで結果を早くたしかめる部分で、少しアレンジが入っていた。すぐ本屋へたしかめにいって結果に激怒したり、いきなり未来のジャイアンが登場したりする、原作のスピーディーな展開が好みかな。アニメの尺にあわせるために描写を足すのであれば、投稿を決断できないジャイ子の悩みにフォーカスをあててほしかった。
*1:他人がいないと効果を発揮のだから、部屋でいろいろ試して何も起きないと判断する描写を入れることはできたはず。
