法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『映画Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪』

2008年に公開された約75分の劇場版。長峯達也監督の長編映画2作目でもある。
映画Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ
キュアドリームの誕生日を仲間で祝おうとしていた時、少女チョコラが乱入してくる。追ってきた敵を撃退したところ、お礼としてチョコラはプリキュアをお菓子の国「デザート王国」へ招待した。
デザート王国を満喫しようとするプリキュアだが、デザート女王と仲間の妖精ココが敵の手に落ちてしまう……


爲我井克美が劇場版のキャラクターデザインと作画監督をつとめる。かなり全体の作画が整っていて、シリーズで初めて映画らしい密度をたもてていた。全体をならして整えるようになったのは、この作品からという印象がある。3DCGの使用を菓子描写に集中して使うという判断もいい。映画のモチーフのみスペシャルな質感が生まれ、他に唐突な使用をして違和感を生んだりしない。
これまでのシリーズ映画は、基本的にTV本編と同時進行でつくられる劇場版であり、リソースが足りない状況で要所にスターアニメーターを配置することで見せ場を作っていた。志水淳児監督は、あまり緊張感のあるコンテを切らなかったこともある*1。長峯達也監督に代わったシリーズ映画前作は緊張感が高まったが、見せ場が多いため作画の起伏も増していた。
かわりに突出した作画の見せ場が減っていて、目を引いたのは中盤にプリキュアが負けていく田中宏紀パートと、終盤の剣戟パートくらいか。


物語はスペシャル作品としてシンプルなもの。主人公の誕生日を主軸に、映画オリジナルの世界でゲスト少女を助けて、映画オリジナルの敵を倒す。TV版の敵幹部ブンビーは、あくまで映画オリジナルの敵を強く見せる踏み台。
しかし、TV本編では女児向けに自主規制されていた描写が複数あって、映画だからこそ見せてもらえたという満足感はあった。プリキュアのアイテムを剣として使うこと、キスシーンのような恋愛描写、等々……

*1:女児向けアニメでは、緊張感がありすぎたり、見せ場ばかりだと視聴率が落ちてしまうそうだが。