作品の枠を超えてプリキュアが共演する『プリキュアオールスターズ』の2作目。『フレッシュプリキュア!』から『ハートキャッチプリキュア!』への引きつぎをかねて、2010年の春に公開された。
『映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』公式サイト!
いなくなった妖精を追いかけて、花咲つぼみと来海えりかは海上の遊園地へやってきた。ふたりは遊園地を楽しみながら歴代の主人公と出会っていき、やがて協力して敵と戦うことになる……
いろいろ割りきって、お祭り映画として楽しむべき作品。
視点人物となるのはキュアブロッサムとキュアマリンだが、『ハートキャッチプリキュア!』の放映前から作られているため、ややキャラクターに違和感はある。特に、最終決戦で応援するだけの月影ゆりには、キュアムーンライトらしさが全くない。
さすがに歴代のキャラクターは違和感なく、サブレギュラーをふくめて短い出番でも充分な印象を残す。特に霧生姉妹は戦闘に参加しないなりに存在感があった。敵側のキャラクターはシャッフルされすぎ、格の違いも背負ったドラマも無視されているが*1、黒幕のつくった再生怪人だから許容はできる。
面白いのが、わりきって映像全体の統一を捨てていること。
頭身もデフォルメも全く異なる歴代キャラクターを、速筆で知られるアニメーター青山充が劇場用にデザインしなおし、作画監督と原画もつとめる。70分を超える尺の映画で、半分近くの第一原画*2を描いたという。
そうして日常芝居は統一を守りつつ、見せ場となるアクションでは担当アニメーターの個性を出させる。その絵柄の違いが、違和感を超えたスペシャルな雰囲気をつくる。凄いのが開始30分ほどから始まる志田直俊パートで、再生怪人の高笑いから遊園地が崩壊していく1カット背景動画まで、なめらかな動きが30秒以上も続いていく。
見せ場ごとに個性を出していたから、3DCGのプリキュアが大挙して敵に向かっていくクライマックスも、ひとつの技術アプローチとして面白く見ていられた。大きく動くカメラワークなど、ちゃんと3DCGならではの映像になっている。見せたい部分をデフォルメした志田直俊パートとは、カメラの動きも違っていて、比べるとより楽しい。
*1:一般客として遊園地を楽しみ、敵の攻撃からは逃げまわり、決戦にいたってはミラクルライトでプリキュアを応援したブンビーは除く。
*2:主に、背景や人物の位置関係やポーズを決めるレイアウトと、動きをつけるラフ原画までを指す。http://www.madhouse.co.jp/column/oginyan/oginyann_02_b.html