正直いって、最初から最後までイマイチだった。最近のライトノベルらしく、キャラクターのかけあいで状況が語られ、事態は遅々として進まない。たぶん、ライトノベルの文法を、うまくアニメの文法に組みなおせなかったのだろう*1。
せっかく映像に力をこめながら、多人数が入り乱れるアクション回でも台詞や独白によって解説される。映像の描写で状況を理解させるということをやってくれない。もし原作小説が好きならば、整った映像で名場面が再現されていることに興奮できたかもしれないが。
つまるところ、アニメオリジナルと聞く外伝的な第十話が、最もアニメらしく楽しめた。比べると『Fate/stay night』は作画も演出も粗かったが*2、まだしも連続TVシリーズとして、アニメらしく仕立てなおせていたと思う。
また、物語そのものにも、全体として悲劇のための悲劇という感があった。『魔法少女まどか☆マギカ』くらいデフォルメされカリカチュアされた映像こそ、虚淵玄作品のリアリティに合っていると思う*3。
特にひどいのが終盤に出題されたトロッコ問題。それぞれ数百人が乗っている沈没寸前の二隻の船。修復できるのは主人公だけ。そして、比較して少人数の側に主人公は拉致され、修復を強要されたいう設定。その強要を拒否し、多人数を救うため、主人公は拉致した側を主人公が皆殺しにする。沈没する前に皆殺しにする余裕があんのかよ! 皆殺しにできるなら最初から拉致されてんなよ! いや、状況設定は出題者の問題だとしても、状況の滅茶苦茶さへ主人公はツッコミ入れろよ!!
わりと悲劇のための悲劇も嫌いではないのだが、あまりにも逆さまの御都合主義すぎる展開が多くて、冷めてしまう場面が多かった。特異な性格の登場人物が意図して悲劇を演出している場面も多く、普遍性もあまりない。