法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『人類は衰退しました』雑多な感想

あまり作画枚数を使った作品ではないが、ていねいに作られているので気にならなかった。沼田誠也がキーアニメーターとして参加しており、中盤のアクション回や妖精ロボット登場回などで魅力ある動きも多かった。独特な色彩設定で、動きがなくても映像としての面白味を保持し続けられたところも大きい。


物語は、時系列通りではないシリーズ構成が無駄な複雑さを生んでいると思いつつ、視点人物が主人公一人に固定されているので見にくいわけでもない*1。主人公のひととなりが完成したところで最終回を迎えるという作りも綺麗。
何より、良い意味で最近のライトノベル原作アニメらしくなかった。地の文は日時や舞台を説明する最低限の情報で済まし、登場人物のかけあい*2で状況の説明と進行を行う、そういうライトノベルを工夫せずアニメ化すると、どうしてもクライマックスは動きの少ない登場人物の顔アップばかりになり、アクションも口頭で説明されて映像の魅力が薄れがち。比べてこの作品は、主人公が周りから距離をとって独白が多い基本設定がアニメという表現に合っており、クライマックスでしっかり間をとって演出することも多く、ちゃんとアニメらしい情感を生むことができていた。

*1:独白が多いだけに、中原麻衣演技の良さも印象に残った。

*2:それも会話の面白さというより、一方的に自分の心情を伝えたり、情報を説明することが多い。一方が主導権を握っているので、もう一方は記号的な反応に終始する。