法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』まじんのいない魔法のランプ/のび太の忍者修行

原作者没後に単行本収録された前半と、生前に選ばれて単行本収録された後半のアニメ化。


Aパートは、いかんせん秘密道具が単純な洗脳装置でしかなく、新鮮味がない。何度もくりかえされたアラビアンナイトネタの範疇を超えてないため、絵としても面白味が少ない。これは藤子F先生も単行本収録にためらって当然。
もちろん全く見所がないわけではなく、洗脳時にランプ内へ人を吸収するギミックが後半で活用される。意図せずランプ内で騒動が起きる結末は少し面白かった。


Bパートは、リアルな忍者修行をコミカルに翻案した秘密道具と、いかにもな忍術映画的な能力を発揮する秘密道具を、続けざまに見せる。比較的に密度が高い短編で、30分に引き延ばしても面白い内容にできたかもしれない。
さて、もともと史料に残っている忍者修行自体が、必ずしも本物の忍者へ取材した情報ではないため、現実性にはなはだ欠ける。そういう意味で、忍者修行の嘘くささに突っ込みを入れた内容としても楽しめる。
後半は、秘密道具を乱用して失敗する主人公を見せる、いつもの『ドラえもん』。透明化が解けているのに気づかずジャイアンへ乱暴し続けるのび太が、アニメ化したことで原作より場面が長く感じられ、よりギャグとしての強度が増していて楽しかった。