法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『DEEP PEOPLE』ヒーロー声優

その道の第一人者から三名を呼んで濃い鼎談をさせる、NHK総合の教養バラエティ。今週はヒーロー声優を演じてきた古谷徹野沢雅子小山力也の三名。アニメで様々なヒーローを演じてきた男女の俳優に、海外ドラマの吹き替えでヒーローを演じた一人がからむというバランスがいい。同じヒーローのアフレコでも、少しの差異が語られることでマニアックさが際立つ。
全体として、声を担当する海外の俳優に敬意をはらいつつ、周囲への気配りも忘れない小山力也の誠実さが印象的。もちろん他の二人も第一線で活躍を続けているだけあって、現場での実践を説得的に説明してみせる。
入念に人物背景を考察する古谷の台本を画面で見られたのも嬉しい驚き。台詞につけくわえられた感嘆符やハートマークを確認できたり、台本の最初に独自の配役解釈が書かれたり。『機動戦士ガンダム』だけでなく『キャシャーンSins』の台本も持ち込まれ、映像も流れた。さらに山内重保監督も登場し、アフレコ現場でゲスト声優が主人公のように演じて主役を食おうとしてしまい、現場の空気が悪くなったところを「座長」として古谷が救った逸話も語られた。


ちなみに番組の公式ページを見ると、番組では使われなかったヒーロー風にアレンジした桃太郎のアフレコが聞き比べられるようになっている。
http://www.nhk.or.jp/deeppeople/log/case110822/index.html
普段は少年や青年の配役ばかりな野沢が少女の相槌をアドリブで入れたり、少女を途中から呼び捨てにする技法を古谷が使ったり、微妙な差異で声質にとどまらない内実の変化を感じられるところが面白い。