法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

それが家族崩壊なら家族は崩壊するべき

産経新聞児童虐待を追う一連の企画で、スウェーデンの現状について報じていた。児童虐待企画は基本的に産経新聞らしからぬ良い内容が多いと思ってきたが、今回は何があったのか首をかしげるほどひどい。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110212/edc11021221240003-n1.htm

スウェーデンの家族のあり方に詳しい民間シンクタンク研究員、中間真一さん(51)は、「よくも悪くも極めて合理主義の国民。無用な我慢はしないので簡単に別れたりくっついたりする。法律婚は手続きが面倒でその結果、事実婚であるサムボ(同棲)やシングルマザーが当たり前になっている」と話す。そのため家族の縛りや制約、偏見は全くといっていいほどないのが現状だ。

本来は悪い状況に対する言い回しとばかり思っていた「全くといっていいほどないのが現状だ」を、どう考えても良いことへ対して用いる産経新聞の日本語力がすごい。
次ページの内容もひどいが、八木秀次教授のような悪名高い名前とは別に気にかかる名前があった。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110212/edc11021221240003-n2.htm

家族の絆を守る会の岡本明子事務局長も「婚外子が6割近いというのはすでに家族が崩壊している証拠。婚外子の増加で出生率だけ上がっても仕方がないのではないか」と疑問を呈する。岡本さんは「『個人としての人間』を追求し、自由を求めれば家族は煩わしくもある。でも欧州のように宗教的なつながりを持たない日本にとって、家族は社会を存立させる、もっとも大切なもの」と訴える。

岡本事務局長は同記事の(上)にも登場していて、理想的とされる国家でも様々な課題は残されていると具体例を報じた記事において、主観に満ちた結論を述べて台無しにしていた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110211/edc11021120190001-n3.htm

 家族の絆を守る会の岡本明子事務局長は「欧州では長く子供は『小さな大人』として支配される弱者だった。体罰を法で禁じてまで子供の人権を守らねばならないほど過酷な体罰が行われていた歴史的背景がある」と話す。岡本さんは言う。「法が家族の中に入ってくるのは本当はおかしなこと。子供を自主的にかわいがる心を育む環境を作ることが一番大事なはずだ」

この「家族の絆を守る会」について簡単にインターネットで検索したところ、公式ブログらしきものが見つかった。
家族の絆を守る会・FAVS
カテゴリに「家族の絆を守る会・FAVS 選択的夫婦別姓法案」や「家族の絆を守る会・FAVS 行き過ぎた性教育関係」がある時点で内実が透けて見えるようなもの。夫婦別姓反対エントリでは、下記のようなものまである。
家族の絆を守る会・FAVS 選択的夫婦別姓法案が急浮上!*1

福島瑞穂 男女共同参画担当大臣は、議員になる前から、選択的夫婦別姓法制化のためにロビー活動を行っていましたが、福島氏は、下記のような発言をしています。
同性どうしの結婚、近親婚の緩和など、従来の社会の仕組みを壊し、結婚制度を破壊する目的を持つ発言です。
家族の絆は、どうしても守らなければなりません。
選択的夫婦別姓法案に、是非、反対してください!!

会が守ろうとしている家族の絆が何かを、よく象徴している文章だと思う。
ちなみに日本会議女性部にあたるらしい「日本女性の会」によると、会は2007年に発足し、当時与党だった自民党議員からの顧問も就任したらしい。
http://ladyjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-27.html

4月26日 衆議院第2議員会館にて、『家族の絆を守る会』が設立されました。この会は、NPO法人化をめざし会を発足されました。

現在多くのNPO法人が、子育て支援や家族政策の推進という名目で活動しています。しかしその多くは、いはゆるジェンダーフリーの考え方を基盤にしたものがほとんどで、女性の社会進出を支えるための、育児支援であったり、家族支援になっているのです。

真に家族のための家族支援を実現するために発足された組織だと思います。啓蒙活動・地域の子育て支援・世界の諸団体との連携などがその主な活動。

世界の諸団体との連携という意味で早速行われるのが、5月中旬に開催される、ワルシャワでの『世界家族会議』への派遣活動。6名の発起人が派遣されるそうです。日本では、『世界女性会議』は報道されますが、家族会議の存在は全く知られていません。その報告が楽しみです。
顧問には、自民党国会議員の古屋圭司氏、萩生田光一氏、西川京子氏、稲田朋美氏が就任され、現在与党の中にも家族をないがしろにするような政策を推進しようとする傾向があり、われわれも闘っています、このような組織ができてとても頼もしいと挨拶されていた。

ここでも稲田議員か。

*1:引用時、文字強調を排した。