すでに統一地方選でも何人かの議員を出していたが、国政選挙でも社民党以上の得票率で当選者を出し、政党要件を満たしたのは驚かされた。
れいわ・N国に交付金配分へ 「政党」認定、活動で恩恵 - 2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル
参院選で、れいわ新選組とNHKから国民を守る党(N国)が、法律上の政党要件を満たした。今後は政党と認められ、政党交付金や選挙活動上でのメリットを受けられる。
N国は比例区で1人当選し、選挙区の全国得票率が3・02%だった。社民は比例区で1人当選し、比例区の得票率は2・09%となった。
私は未読だが、『ネット右翼とは何か』という書籍で山口智美氏が担当した章で、すでにN国に注目していたという。
『ネット右翼とは何か』(青弓社)の拙稿、N国の言及から始めて、最後にもN国に立ち戻って文章を閉じる、という構成にしたものです。あれは統一地方選の直後に書いたものですが、今回の参院選の結果からしても、流れは続いているというか勢い増してしまっているのかもしれない….
— 山口智美 (@yamtom) 2019年7月22日
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残念ながら、社会に強い影響力をもたない泡沫団体としてすませられる段階ではもはやない。
そんなN国の存在を私が知ったのは約1年半前、愛国的なニコ生投稿者「ボウズP」こと沓沢亮治氏について、ふりかえった時のことだった。
別地域の写真を南京が平和だった証拠としている「しきしま会」って、注射器を闇サイトで売って有罪判決を受けた「ボウズP」だよね…… - 法華狼の日記
当時も話題に便乗して主張を流布したりしたため、「検索妨害」としてニコニコ動画ですら良い評判ばかりではなかった。
「しきしま会」というコミュニティ名も「NHKから国民を守る党」へ変えて、2019年の統一地方選に立候補するため選挙活動をおこなっているという。
ここで知った時は沓沢氏のコミュニティと私は認識していたが、N国は2013年に作られたそうで、代表は今回の国政選挙で当選した立花孝志氏。
沓沢氏はN国の公認候補として豊島区議に当選したが、そこで党ともめて除名されたひとりに入っている。
東京新聞:候補擁立「NHKから国民を守る党」とは 「契約者だけ視聴」目指す 4月の統一選で躍進:参院選2019(TOKYO Web)
参院選の供託金の拠出などを巡って統一選の当選者ら六人が除名や離党となった。「『内紛』などと言われることも否定はしないが、方針についてこられない人を除名しただけだ」と話す。
つまり、しきしま会は合流した立場にすぎない。コミュニティの規模や支持はN国がずっと大きいらしく、そちらに注意を向けるべきだった。
念のため、除名された沓沢氏も議員を辞めたわけではなく、「外国人生活保護廃止 共産主義を非合法化」*1を主張しながら、Youtuberとしても活動。
先日の京都アニメーション放火事件にも言及して、排外主義的な陰謀論をたくましくしていた。ネットの意見としてどこから引いてきたのかわからないコメントをならべていて、どこからが沓沢氏の意見なのかわかりにくいが。
京アニ放火で33名死亡、日本犯罪史上最悪の事態に
— くつざわ亮治 豊島区議員 (@mk00350) 2019年7月19日
2016年 相模原障害者施設事件28名 植松聖
2008年 大阪個室ビデオ店放火事件16名 精神鑑定
2001年 池田小事件8名 宅間守
1995年 地下鉄サリン事件13名
1948年 帝銀事件12名 獄死
1938年 津山事件30名 都井睦雄 https://t.co/O8B0bU3Xbg
N国ほどではないが、沓沢氏個人もまた危険な存在であることに変わりはない。
そんな沓沢氏と同じく除名されたひとりの佐々木千夏氏は、日本平和神軍と深い関係があり、その関係をN国側が認識した上で公認されていたことが一部で報じられている。
佐々木千夏・杉並区議が「日本平和神軍」って本当? 電話で直接尋ねたら…… | ハーバービジネスオンライン
佐々木氏によると、佐々木氏が立花氏に公認を頼んだ場には沓沢氏と中杉氏も同席。中杉氏から立花氏に「NHK内に何人朝鮮人がいるのか知っているのか」などと話したりもしたという。また中杉氏の著書も立花氏に渡したという。仮にこれが事実なら、N国党は佐々木氏や中杉氏の思想を認識した上で佐々木氏を公認したことになる。
ただし、除名の理由として日本平和神軍との関係があげられていることから、N国そのものは日本平和神軍と深い関係はないと考えるべきだろう。
おそらくN国は、特定の宗教団体が背景にあるというわけではない。同じように過激な愛国思想の団体と無節操に関係をもとうとしているだけだろう。
無節操さをうかがわせる証拠として、N国候補者として立川市議会議員となった「横山緑」こと久保田学氏は、幸福の科学の大川隆法生誕祭に呼ばれていたという。
呼ばれたから行ってくるわ。
— 横山緑 (@kubotayokoyama) July 4, 2018
埼玉スーパーアリーナ pic.twitter.com/h4eJguhLCf
上記ツイートからは招かれて行くくらいの関係性であること、その情報を公開してもいいと考えていることがうかがえる。
それ以上の関係性はよくわかなかったが、ツイッターで今回の参院選当選を受けて、4年前からN国と交流があるという幸福の科学側のツイートを見つけた。
N国党立花さんと幸福実現党 https://t.co/LKwd3BulUj @YouTubeより
— 古山隆夫 (@furuyamatakao) July 22, 2019
立花さん、当選おめでとうございます。
実はお付き合いも4年ほどになります。
昨年は、大川隆法総裁のご生誕祭にも来ていただいてます。
幸福実現党の千葉県本部幹事長という古山隆夫氏のYoutubeを確認すると、柏市議会議員選で出会ったという。やはり宗教的なつながりではなく、愛国的政治団体として共感したということらしい。
ちなみに幸福実現党も統一地方選で複数の当選者を出している。こちらもN国と同じく今後の動きに注意をはらう必要がありそうだ。
*1:ツイッターアカウントのプロフィールより。くつざわ亮治 豊島区議員 (@mk00350) | Twitter