法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『呪怨2 劇場版』

清水崇監督によるシリーズ作品。たまたま時間がちょうど良かったのでDVDで視聴。
すでにネタ切れの感があるむねを監督自身が語っているように、売りであった直接的な怪奇描写は怖くないし、上映当時においても何度となくパロディ化されているので笑えもしない。
病院の屋上などで妙に情感を出していたり、明らかな怪奇現象は起きていない結末のサスペンスがきちんとできていたりしたので、直接的な怪奇描写を抑制した方がホラー映画として完成度が増したのではないかと思う。


しかし、テンポ良く女優の絶叫や怪奇シーンの連続を楽しんでいくモンスター映画として割り切られているので、見ている間は楽しめた。特に気にかかるような段取り臭さや粗はないし、時系列を前後させて細かく分散した謎解きで興味を引く作りにはなっている。
全体を通した謎解きも悪くない。家事をしていた母がふりかえると主人公が帰宅していただけという場面もきちんと怖さを感じさせ、かつ物語を通して見れば気のせいではない必然性ある恐怖描写となっている。これで真相に意外性があれば、より結末の印象も良くなったと思う。ちゃんと物語にミスディレクションを入れているのに、事実上の真相を予感させた予告が残念だった。


あと、メイキングを見て面白かったのが監督自身が語る作品コンセプト。前作の劇場版が女性客には怖くなかったらしいので女性客が生理的に嫌がるような展開にしたとのこと。酒井法子主演という、今になっては業を感じる配役もそのためだという。
ハリウッドリメイクについても外国人が日本へ来ることを怖がるようなコンセプトが語られていて、最近の娯楽邦画監督として珍しく、きちんと観客を想定して作っているとは感じた。