元日スペシャルとして放映された2時間超のドラマ。南果歩がゲスト俳優で、他に著名な俳優がほとんどいないところから、誰が犯人かは丸わかり。ゆえに倒叙ミステリ*1として物語が進行したことは当然。
あるものではなくないものが証拠になること。その証拠について犯人が一枚上手であり、それは考えれば当然なこと、といった倒叙ミステリとしてのポイントは悪くなかった。犯人が偽証拠を置くルートが逃亡劇の場面に登場している、映像的な伏線も好印象。
ただ、『相棒』の魅力は2時間サスペンスよりも濃い内容を1時間で展開することにあると思っているから、2時間スペシャル回はあまり作品の特色を感じないことが多い。今回はミステリとしての構成がシンプルだったため、神戸尊が被害者の母親と無理な協力をして話を引っかきまわす役割を与えられ、バディ物としてのバランスも悪かった。
あと、復讐劇なのにゲーム感覚で警察や被害者を翻弄する御都合主義な犯人像を、「母親」という台詞で無理やり説明したのはどうかと思った。復讐心を満たしてくれなかった警察を嘲弄することも犯行目的の一つ、という説明でいいじゃないか。