法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「アニオタ保守本流」からチャンネル桜に出演したという話

順調に「保守」の論客として出演の場を広げているようで、何より。しかしチャンネル桜は「保守本流」ではなく、傍流や異端もいいところだと思うのだが。
チャンネル桜に出演しました!【古谷経衡】日韓のこれから NHKのこれから[桜H22/8/25] - アニオタ保守本流

番組の裏舞台、カットされた部分以外に、もののけ姫、アニメンタリー決断の話、若者の保守化は嘘!若者は中道化している!、若者は真実に気付き始めている!、『新しい中道』を目指そう!の話もしました!

主張に対しては興味がわかなかったが、網野史観を背景にしている映画『もののけ姫』をチャンネル桜でどう語るのかは気になったので、エントリに張られたYOUTUBEを見ることにした。


前半のほとんどはaniotahosyu氏がエントリとして先日から提示していたものと同じで、内容に新味はない。アニメにからめた話が始まるのは16分くらいから。
まず、学校では階級闘争史観の歴史を学ばされるという主張に驚いた。少なくとも27歳ならば、もっと異なる歴史が基本だと思うのだが、よほど風変わりな教師にばかり習ったのだろうか。
そして聞き続けていると17分40秒くらいに、庶民は虐げられるばかりという史観とは異なる、生き生きとした庶民が描かれた映画としてaniotahosyu氏は『もののけ姫』を提示した。……いやいや、簒奪されるだけではない自立した存在として描かれる庶民こそ、かなり共産主義の影響下にあるのだが。
むろん近年の作品である『もののけ姫』には他の葛藤も織り込まれていて、階級的に抑圧されていた民が都の協力を得て活動していたり、森を破壊することで場所を得ようとしていたという重層構造もある。
しかし差別され抑圧された民が自立しようと動く姿に、階級闘争の萌芽という意味合いがあることは、マンガ史から見て事実ではなかろうか。たとえば『もののけ姫』より、ずっと前のマンガ『カムイ伝』に目を通してみればいかがだろうか。


そもそも、天皇を諸悪の根源と見なす史観があったという共演者の発言を受けて『もののけ姫』が提示されるという順序にも頭痛がした。映画作品ではにおわされている程度だが、シシ神を殺すために村が利用されダイダラボッチが暴れまわった原因には、天皇の意向があったはず。
ちなみに、ここで共演している西村幸祐氏は、意見広告「THE FACTS(事実)」で名を連ね、意図せず慰安婦謝罪決議案を可決に導いた1人。14分くらいから自説を開陳しはじめ、15分20秒で「若者の右傾化」を否定し、「ただ単に事実に気がついた」と主張したところで思わず苦笑いしてしまった。
ついでに15分50秒で西村氏が監修した『歴女が学んだホントの日韓関係』なる書籍の宣伝を始めたことにも苦笑い。発行している青林堂の商品紹介ページを見てみると、「コリアンジェノサイダー」を書籍化したものだという*1。ずっと前から書籍化される話は聞いていたが、まさか以前に『ガロ』を出していた青林堂からとは、時代の流れにせつなさをおぼえる。みんな不景気が悪いんや。