法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』みんなで体をとりかえっこ/ドンブラ粉

ひさしぶりに今回は原作2本立て。一気に消費するよりも、半分はアニメオリジナルでも良いのではないかと思うが、どちらも出来は悪くなかった。


Aパートは清水東脚本に安藤敏彦コンテ。このスタッフはやはりギャグ回が合うなと思いつつ、かなりアレンジが加えられている。アニメだと微妙な肌の色が違うため、交換したことがわかりやすい。
原作ではしずちゃん視点で物語が始まり、裏山に導かれると謎の巨大な秘密道具が設置されてある、という謎めいた導入だった。それゆえ身体をとりかえようという唐突な提案の衝撃度も高かった。しかし今回はのび太が身体をとりかえようと思いつくまでアバンタイトルで描き、その理由として夏休みの宿題を設定して季節感を出す*1。キャラクターの思考が説明されて頭の悪さが表現されているので、少年と少女の姿かたちが交換されるエロティックさがあった原作と比べ、よりコメディとしての色合いが濃い。
混沌と膠着したまま結末を迎えた原作と比べ、身体を取り戻そうと各人がアクションするアニメの結末も、アニメの特性を活かしているとはいえるだろう。


Bパートは富永淳一が脚本、吉野芙紀が初コンテ演出*2
ほぼ原作通りの描写に登場人物の反応を足している。のび太が先にのぞきをした結果、ひどい目にあうドラえもんは良いアレンジ。のび太がむかえる結末にドラえもんらしい逃走アクションをくわえ、アニメとしての見所を描きつつ展開の説得力を高めていたのも良い。
最後ののび太は原作通り気絶してほしかったが、それだとアニメでは重くなりすぎるかもしれない。

*1:秘密道具を試運転した場面では、原作結末の欄外コマに描かれたシークエンスが実行された面白味もある。

*2:Aパートの演出も担当。これまで演出処理だけを担当していたらしいが、コンテ作業を任されるようになったか。