法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ブラザーズ・グリム』

テリー・ギリアム監督のファンタジー映画。詐欺師がいつの間にか真の英雄となる展開は制作中断した『ドンキホーテを殺した男』*1のリベンジとも思える。


薄っぺらいデジタル制作のタイトルバックで不安を感じたが、中身はいつものアナログ特撮な作風。中盤のクリーチャーで3DCGも用いているが、これはけっこう質感がいい。箱庭っぽさが良い意味で童話らしさを生んでいるが、安っぽいことも確か。
リアリティレベルがコントのそれなので、能天気なハッピーエンドが安っぽさを増しているとも感じる。そう悪くはないものの、コントのようで残酷な結末といういつもの結末ではないため、他の監督でも撮れそうな冒険映画という感想しか残らなかった。
ギリアム監督の特長が出ていたのは、老女が欲望のおもむくまま若返り美しくなったかと思えば崩壊するビジュアルくらいか。同監督の『未来世紀ブラジル』を思い出した。ただ、映画的なテーマもあるだろうが、単に作者のフェティッシュが現れているだけという気も。

*1:再開した撮影が再び中断したという報道がちょうどあった。http://www.cinematoday.jp/page/N0025879