藤本信行脚本、安藤敏彦コンテ演出、三輪修作画監督。
のび太へマンガを買ってやろうと約束していた父が、次の日になるといきなり厳格な態度を取り始めた。どうやら夢枕に厳格な祖父が出てきて、のび太を甘やかしていると父親を怒ったらしい。その横暴さに怒ったドラえもん達は、過去にタイムマシンで戻って生前の祖父に文句をいいにいく*1のだが……
ひさしぶりに安藤敏彦の情緒的な演出が見られ、作画の良さもあいまって、かなり楽しめる映像ではある。しかし中編にひきのばすため改変された後半部分が、どうにも私は評価できない。
ただのマッチョに見えた祖父が裏では父親を甘やかしていた驚き*2を見せる原作に対し、アニメの祖父は父親に対して厳しい態度で発奮させるというパターナリズムな態度で一貫している。実のところ今回単独でファミリーアニメとして見れば、パターナリズムを称揚する物語と知りつつも評価するにやぶさかではないのだが、皮肉あふれる原作と比べて物語が後退しすぎている。
現代に物語を改変してアニメ化するなら、パターナリズムも問題をふくんでいるとはっきり描くくらいでも良かったのではないか。少なくとも、祖父からいわれたまま父親がいじめっ子へ正面から立ち向かい、その男気をいじめっ子から評価され友人になるアニメオリジナルの終盤描写は、もう少し工夫してほしかったな。