法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HEROMAN』第03話 インヴェイジョン

監督自身の三條なみみ名義コンテ。極めて古典的な侵略異星人を、全く映像で誤魔化さずに描く。
確実に多くの人々が虐殺されている展開ながら、流血すら見せずに不安感を表現できている。星条旗に重なる巨大円盤の影、引き裂かれた星条旗、旗竿の折れた星条旗……北米向けに残酷表現規制をきつく想定した結果かもしれないが、虐殺描写を隠喩表現に抑えていたことで軽いオチの違和感を消す効果も感じた。


作画監督は大浪太。『蒼穹のファフナー』で作画監督をつとめたアニメーター。クローズアップでのキャラクター描線に強弱をつけ、生っぽさを出していたところが印象に残った。
作画では他に、異星人の攻撃から逃げ惑う人々をTVアニメながらしっかり動かし続けていることにも感心した。単に複数の人々が走っているのではなく、きちんと個々人が異なる動作をしている。
もちろんアクション全般も良い出来だ。特に、3DCGで描かれた兵器と、手書き爆煙のリアリティレベルが違和感なく統一されていることに感心した。


しかし、やはり物語で心に引っかかる描写は少なかった。大筋の展開から、モブキャラクターの台詞にいたるまで意外性がほとんどない。せいぜい松葉杖をついたキャラクター関連くらいかな*1
個人的に、大和屋暁脚本が好きではないからかもしれない。大和屋脚本は、定型的なキャラクター描写を繋いでいくだけの作風で、個性的な演出家と組めば素晴らしい素材として機能するが、巧くても抑制されたコンテと組めば土台の薄さが露呈しやすい。
もともと大和屋構成は、シリーズ立ち上げ時の脚本が不得手な感もある。たとえば『ソウルイーター』や『銀魂』の序盤も、キャラクターが出そろうまで物語に動きが感じられなかった。

*1:五体満足な人間の動作自体がアニメでは困難で、生活できる程度の身体障碍者を自然に見せることはより困難という。だから松葉杖を登場時から使い続けているレギュラーキャラクター自体が、アニメでは極めて珍しい。