法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

金田伊功、死去

偉大なアニメーターでありデザイナーであり演出家*1だった金田伊功氏が、亡くなられた。57歳という年齢は若すぎる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20090722-OYT1T00991.htm

 金田伊功氏(かなだ・よしのり=アニメーター)21日死去。57歳。後日、お別れの会を開く予定。

 映画「銀河鉄道999」「風の谷のナウシカ」など、多数のアニメで原画を担当した。
(2009年7月22日21時47分 読売新聞)

ゲーム会社に行った後はアニメでの仕事量が減ったものの、近年でも印象的な仕事は無数にある。
映画『銀河鉄道999』の終盤が、今日で簡単に見ることのできるまとまった仕事だろうか。
ジブリアニメの参加も印象的で、『風の谷のナウシカ』のアスベル空中戦や、『となりのトトロ』のネコバスで、名前を知らない非アニメファンでも彼の仕事は脳裏に焼きついているかと思う。
ゲームに付属しないアニメでの遺作は、TVアニメ『ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU』後期OP終盤だろうか*2。キャラクターメカを平面的に直線で作画し、往年の丸いフォルムの魅力が失われた感もあった代わりに、動きとタイミングの面白さが前面に出た印象的なカットだった。新旧の凄腕アニメーターが奇跡的に結集したアニメにおいて、満を持しての登板だった。


あと、手描きならではの感性による作画と現在では評され、事実としてアニメ史における後続の影響もデフォルメ作画ばかりだが、実際にはリアル作画における一つの方向性を提示したという面もある。
たとえばTVアニメ『無敵超人ザンボット3』では、他のアニメーターが技術力不足だった中で、きちんと立体を把握したアニメートを行える数少ない一人だった。金田パースも、セルで描かれ質感の無いロボットに巨大感を付与する手法として有効だった。
アニメーターへの影響という視点でも、精密さを重視したリアル作画から、現実を把握しなおして新しいリアル作画スタイルを生んだ磯光雄との繋がりがあるだろう。
時間と気力と力が足りないので、誰かがまとめてくれるのを望む。

*1:監督作品の評価は高いといえないが、OP等の単品演出では素晴らしい仕事が多い。

*2:http://bp.cocolog-nifty.com/bp/2007/08/gaiking_kanada_120b.html