法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』しかしユーレイはでた!

〜もし文句をいうとしたら、福田内閣新閣僚を伝える速報テロップが邪魔だったくらいか〜
今回は、期待以上の傑作だ。
もともと原作も、通常より長めの力作。じっくり細密に描きこまれた舞台の古寺、無駄を排することが特徴の藤子F作品に珍しく恐怖を盛り上げる間合い、王道のホラー展開に巧妙な伏線が張られる緻密な構成が魅力で、映画的なスケールがあった。それだけに今回、俯瞰と煽りに引きと寄りでメリハリをつけたコンテ、新規に書き起こされた緻密な背景美術、そういった映画的な画面が原作の雰囲気をよく再現している。
脚本で指示されたかもしれない描写だが、トンネルで生まれる光と影でジャイアンの恐怖話を盛り上げたり、天候描写で気分を盛り上げたりといった小技もいい。秘密道具の変形場面をCGモーフィングで表現するのもアイデア
さらに、いつもより柔らかな線で動くキャラクター、風呂場で見られる水エフェクト作画、光源を意識してつけられた影といった良作画が華をそえる。
物語面でも、ベタなオチをつけくわえたのはともかく、悪だくみが明かされた後でのび太が恐怖を感じる理由を明示したり、五右衛門風呂の描写で生活感を出したり、うまく改善されていると感じた。


実際、今回は映画ドラえもんに関わりが深いスタッフがそろっている。
コンテ演出が、『恐竜2006』で演出を担当、『緑の巨人伝』を連名でコンテまで担当した宮下新平。作画監督が『緑の巨人伝』で作画監督補佐の大杉宜弘。原画にも、大杉と同じく『緑の巨人伝』で作画監督補佐をつとめた夏目真悟の名前があった。ローテスタッフではあるが、脚本の大野木寛も『緑の巨人伝』に参加しており映画スタッフといえる。
今後も定期的にTVで登板してくれると嬉しい。