法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

アニオタの姉が弟を現実へ立ち直らせるための10本

アニメオタクの姉です。
脱オタクファッションガイド │ 脱オタクファッションバイブル
あわせてお読みいただければ幸いです。


あの、どのくらいの数の姉がそういう弟を持っているかは別にして、「仕事はまったくないんだけど、しかし家族が趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らない仕事の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、都合のいい妄想の中に生きてそうな弟に、現実の事象へ媒介するために見せるべきアニメ10本を選んでほしいのです。

要はアニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本の正反対版ですね。弟さんに現実を学ばせるのではなく最低限のコミュニケーションの入口として……
あくまで「入口」となると、時間的に過大な負担を伴う一年、数年のアニメは避けたいですね。
できれば映画、長くても半年に。
あと、いくら現実を見せられるといっても最初から拒否感をもたらすものは避けたいですね。

横レスだが、邦画好きが『顔』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思うとか?

そういう感じでしょうか。
弟さんの性格は?

アニメ嗜好はいわゆる「テレビまんが」的なものを除いて全て。毎晩アニメを見ています。
サブカル度というのはわかりませんが、頭はけっこう良いと思います。

という条件ですね。
では個人的に。これから出す順番に実質的な意味はありません。

涼宮ハルヒの憂鬱石原立也監督)

いきなりと思うかもしれませんが、「オタク嗜好」を濃縮しきっていて、「リア充視点」を決定づけたという点で外れではありません。長さも14話ですし。
ただ、ここで批判トーク全開にしてしまうと、弟さんと関係が崩れるかも。
このサービス過多な作品について、どれだけさらりと、嫌にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を伝えあえるか。

見せました。弟の「真のコミュニケーション能力」の試験としていい選択だろうと思います。

横レスだが、ソレって典型的な「オタクに見せて現実を直視させられるアニメ(そうオタク自身が思い込んでいるだけ。実際は全然甘ったるい)」そのもの

そういう意見には半分賛成・半分反対なのですが、それを弟にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないでしょうか。

「姉ちゃんとしてはこの二つは“恋愛”を伝えてていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って聞いてみました。

未来少年コナン宮崎駿監督)

ある種のNHKアニメ好きが持ってる幼児期への憧憬と、NHK作品の一般人への知名度から現実との接点にするという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも宮崎駿
「子供的にわからないカッコよさ」を体現するモンスリー
「子供的に嫌われる男」を体現するラナの父
の二人をはじめとして、オトナコドモではわからないキャラを世界にちりばめている作品です。

紹介します。でも、理由の説明が私にはよくわかりませんでした、すみません。

河童のクゥと夏休み原恵一監督)

たぶんこれを見た弟さんは「子供向けだよね」と言ってくるかもしれないですが、そこが狙いといえば狙いです。
この系譜の作品はその後続いていないこと、これが濃いオタク内では大人気になったこと。童話から実写テレビドラマになって、それがTVアニメに逆流されてもおかしくはなさそうなのに……

家族がテーマの作品はなかなかありませんね。これ、中身を家族で話してみたいな、という願望を少し感じました。

カウボーイビバップ渡辺信一郎監督)

「やっぱりアニメは大人向けを見たいね」という話になったときに、そこで選ぶのは「ルパンIII世」でもいいのですけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品に虚構耽溺への批判があるからです。
断腸の思いで規制に規制されそれで1クール、という放映形態が、どうしても不安感を持たせてしまうでしょうが、その「規制反抗」ということへの諦めきれなさはいかにも反オタク的だなあとも思えます。
ビバップの説教を私自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが宮崎や富野だったらきっちり現実に帰れと一言で切り捨ててしまうでしょう。それでは効果ありません。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて説教臭い2クール目も放映する、というあたり。「自分の物語を形作ってきたキャラを捨ててしまう監督」というのは、たとえ私がそういうキャラに興味なかったとしても、尊敬の念を禁じ得ません。

作品自体の評価と合わせて、そんなことを弟に話してみたいです。

プラネテス谷口悟朗監督)

今の若年層でプラネテス見たことのない人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみます。
ギアスよりも前の段階で、監督の哲学とかオタク批判とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、こういうプロジェクトXな作品がテレビで深夜にかかっていたんだよ、というわけで、別に視聴者自身がなんらそこで経験しなくとも、なんとなく働くことの厳しさや誇らしさをおぼえさせられるかも。

仕事の大変さを知らない弟に見せてあげたいなと思います。

東京ゴッドファーザーズ今敏監督)

市井の「貧」あるいは「子づくり」を弟さんに教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらない学校祭を毎日生きる」的な感覚がオタクには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそアニメ版『らき☆すた』最終話はパーフェクトブルー冒頭以外ではあり得なかったとも思う。
「祝祭化した日常を生きる」というオタクの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の源はアイドル追っかけにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに。

単純に興味をもってもらえるかどうかを見てみます。

時をかける少女細田守監督)

これは地雷ですが。地雷が火を噴くか否か、現実に戻れるか作品に耽溺してしまうか。
こういうリアル充実した風味の恋愛をこういうかたちでアニメ化して、それが弟さんに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか。

確かめてみます。

新世紀エヴァンゲリオン庵野秀明監督)

9本まではあっさり決まったのですけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にエヴァを選びました。
「ただの人間に興味はありません」から始まって「きもちわるい」で終わるのもそれなりに効果はあるでしょうし、ネット以降のスタッフ誹謗時代の先駆けとなった作品でもあるし、紹介する価値はあるでしょう。けど、もっと他にいい作品がありそうな気もします。

ありがとうございます、こういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。

ところで、どうもあなたの発言は解せないところがあります。
弟さんがオタクでアニメをよく見ると仮定しますと、私が提示したような有名作品を見ていないというのはちょっと考えにくいことです。
しかも長い期間にわたって弟さんがアニメを見ている姿を見て、今さらコミュニケーションの必要性を感じるのも想像しにくいところです。
そして、「見せるべき○○10本を選んでほしい」などという設問は、それこそ他力本願であり、対人関係不全の特徴です。


まさかとは思いますが、この弟の「アニメ耽溺」とは、あなたの想像上の状態にすぎないのではないでしょうか。もしそうだとすれば、あなた自身が対人関係に問題をかかえていることにほぼ間違いないと思います。
あるいは弟さんの「アニメ趣味」は現実て、しかし本当にツールがないとコミュニケーションできないのは、あなたという可能性も考えられます。この場合も、あなた自身が対人関係に問題をかかえているにほぼ間違いないということになります。


アニメは娯楽のためにある虚構です。それ単体では、それ以上でも以下でもありません。私が提示した10本も、使い方によっては、アニメに興味を持たせるための入り口になりえるでしょう。
たしかに、気のおける友人と趣味を共有することは楽しいことです。しかし気のおける友人を持つため共有する趣味を探すという行動は、本末転倒といえませんか。
コミュニケーション不全の責任を全ておわされる弟さんも、ツールとして使われるアニメ作品もかわいそうです。
まずあなたが相手の話を聞くべきではありませんか。自分が提示した範囲内で語らせることを、話を聞くとはいいません。


いや、これは全くの的外れかもしれませんが、可能性として指摘させていただきました。文章だけしか情報がないネットの、これは限界とお考えください。

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横レスだがよ。


別にいいんじゃないよ、どっちも。どっちでも。
いろいろ失敗したっていい、それこそがコミュニケーションってもんだ。


ツールとして使われる作品がかわいそうって気分はわかる。だが、そっちも主張のダシにアニメを使ったじゃんか。それこそアニメがかわいそうだよ。
いいんだよ、ツールに使ったって楽しんだって。楽しむことだって、いってみれば、作者と視聴者のコミュニケーションだ。
結局は自分語りであっても、いいんだよ。脳内彼女と会話するのと、アニメを見ることとで、本質的な違いなんてどこにもない。
作者と同名の某名探偵キャラから言葉を借りるなら、しょせん俺達もどこぞのブロガーが脳内で生み出した架空のキャラなんだぜ?

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参考資料は以下。
http://www.so-net.ne.jp/vivre/kokoro/psyqa1087.html


アニメが好きだ。それで全てが正しいとはいわないが、それでいいと思えることがあってもいい。