法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム00』MISSION-8 無差別報復

ガンダムもマイスターもソレスタルビーイングの広告塔でしかない説〜
ガンダムが派手なカラーリングで各機体の設計思想が別々で、マイスターがドラマチックなプロフィールを持つ美男子ぞろい*1なのは、広告塔だから。
広告塔だからコードネームや正体を明かしても許容されるし、どのような戦闘にも駆り出され、時には素顔をさらして敵と対峙したりもする。王女との出会いも意図的。
ソレスタルビーイングの上層部にとって太陽炉の量産は容易だが、広告塔自身にそれと気づかせず、希少性を煽るために量産方法を秘匿している。
……そうとでも思わないと、主人公の脇が甘いことの説明がつかなさそうだ。あえて自分から名乗り出て、怪しまれないという方法もないではないが……


水中戦闘でガンダムエクシアが勝利した点は、以前に水中行動可能と明示していたので問題なし。西井正典メカ作画監督らしい爆発エフェクトを堪能できた。粘りがありながらもからみつかず、鬱陶しくない水煙が気持ちいい。
一方で人物は、大貫健一キャラ作画監督ながら、細部に修正が行き届いていない。中盤カーチェイス等、モビルスーツと無関係な場面は、全体的に絵も話も荒かった。
ただ、巷間*2でいわれている箇所は作画が悪いとも思えない。ロングショットの群集で、個々人を塗りわけているだけでもTVアニメでは手間をかけている方だろう。しかも回転しながらカメラを引きつつ、上方からヘリコプターが侵入してくるという、それなりに動きもある。キャプチャ等を行って画面を静止しなければ、特に目立つカットではない。
コンテは美少女アニメを監督している印象が強い木村真一郎。若いメイドが並ぶ絵や、女性陣の水着姿など、それっぽい描写が多い今回を担当しているのがいかにも。


主題に関わる展開で一つ、気にかかる描写があった。
国際テロネットワークを攻撃したいソレスタルビーイングへ、諜報機関が情報を意図的に流出させる。他国へ軍事介入できる権限を持たない国家機関が、ソレスタルビーイングと互いに利用しあう共犯関係を結んだわけだ。その結果としてテロの実行組織は各所で壊滅させられた。
ここで気になったのは安易にテロ組織が壊滅した点ではなく*3、他国への軍事介入をできないことがテロ組織をつぶせない理由になっていること。そして諜報機関がテロ組織、少なくとも実働部隊の全容を把握していること。
もちろん、けして肯定的な描写ではないし、フィクションでは充分に許容される展開だ。それでも他国に軍事介入することや、国家機関の権限拡大を、テロへの一解決策と描かれると、違和感を持たないではない。主人公個人の問題*4で説明できるマリナ王女との会話より、諜報機関が即座に国際テロネットワークの動向をつかんでいることこそ御都合主義と感じるのだが……

*1:異論はあると思うが、とりあえず設定した者の意図として、そうだろうと推測される。

*2:http://www.kajisoku.org/archives/50788458.html

*3:背後にあるだろうテロ支援国家が潰せない以上、テロ自体は存続するだろうことは作中でも指摘されている。

*4:そしてそれは仲間から何度も指摘されている。