法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『電脳コイル』第19話 黒い訪問者

〜現実に古い日本家屋も箪笥でさえぎられて廊下が隠されてたりしてたので懐かしい〜
全てが作り物とわかるアニメでホラーは難しいのだが、それをきっちり怖く仕上げたこと、今回はそれにつきる。作中でさえ電脳メガネで見ている仮想現実と断っているのだが、現実に影響をもたらすかもしれないという不安定さが、逆に恐怖を増す。
ヤサコや京子を助けるデンスケの忠犬ぶりも良かった。実体がなかったため触れ合えなかった設定が、ラストのカタルシスに結びつく。
設定的には完全にホラーへ踏み込んだようでいて、実際はこれまで存在した描写*1の枠内に収まっている。事件が起きている原因や各人物の動機がきっちりと語られれば、SFとして完結するのも難しくないだろう。


今回はコンテにも磯監督が連名で。作画監督は複数だがローテメンバーなので、スケジュールが崩壊しているという様子ではない。力の抜けた妹をだっこしなおすところが非常に良かった。
「あっち」の世界で屋台にいる人間の作画や撮影エフェクトが、異質なリアルさで面白い。『ラーゼフォン』脚本コンテ回等から思うと、この質感は磯監督の嗜好だろうか。

*1:物体を透かして向こう側の景色が見えることは何度もあった。