法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ゲツヨル!』

数日前の日本テレビ系報道バラエティ番組でスタジオジブリが特集されていたが、相当にひどい出来だった。鈴木プロデューサー称賛番組なのは覚悟してたが、アニメ全般についてあまりにもスタッフが無知。
だいたい監督で宮崎駿高畑勲だけを出すならわかる。しかし宮崎吾郎を入れるなら、『海が聞こえる』の望月監督や『猫の恩返し』の森田監督も入れろと思ってしまう。『ギブリーズepisode2』に加え、『ポータブル空港』などという短編アニメも手がけた百瀬義行監督もいる。
耳をすませば』も宮崎作品と思われていて、実際に映画のかなりをコントロールしているが、監督は近藤喜文。ついでに、せっかく番組で触れるなら、近藤喜文が故人であることも言及するべきではなかったか。

「かつて、老婆を主人公にしたアニメーションなど、あっただろうか?」

スプーンおばさん』や『いじわるばあさん』があっただろうに。
最近でも、老婆となったヒロインが過去を回想する『千年女優』がある。

「クラシックの才能が、今まであアニメーションに取り入れられたことなどなかった」

田中芳樹原作、石黒昇監督のスペースオペラ銀河英雄伝説』。OVAと劇場アニメがある。有名クラシック音楽に合わせて展開する宇宙戦艦戦は有名。ジブリと同じく徳間書店がらみの作品なのだが。
スタジオジブリで『ハウルの動く城』を監督する予定だった細田守監督の『劇場版デジモンアドベンチャー』で使われたボレロも印象的。
他にも今川泰弘監督『ジャイアントロボ 地球が静止する日』では真夏の夜の夢が用いられ、天野正道によるベートーベンを意識した重厚な楽曲が画面を支えていた。
古典的音楽を使用したり意識したアニメ作品は一つや二つではない。
クラシック音楽家の故羽田健太郎氏も、アニメ音楽を手がけていたのは有名だろう。


映画制作の内実についても、いくつかのアニメ雑誌や関連書籍に目を通せばわかる、有名な話ばかり。宮崎駿監督が『ルパン三世 カリオストロの城』で興行的に大失敗して干されていたから『風の谷のナウシカ』を漫画連載したことのように、必要な情報も欠けている。
崖の上のポニョ』については、少し前にNHKでやっていた宮崎駿密着ドキュメンタリー*1の方がイメージボードも設定も大量に紹介され、よほど情報量があった。
新情報は唯一、高畑勲が新作を予定しているという話だけ。それも内容が全く不明なのではプロデューサーのはったりに見えてしまう*2

*1:番組内容自体も『ゲド戦記』の出来に激怒し、幼女とたわむれる宮崎駿のありのままの姿が楽しめた。

*2:だいたい番組内容そのものが鈴木プロデューサーのはったりぶりを特集していたようなものだった。