発端は、英国紙のガーディアンがスタジオジブリ後継者を論じる記事に、西村PDがよせたコメント。
'Women are realistic, men idealistic': Studio Ghibli on why a director's gender matters | Film | The Guardian
下記のNAVERまとめで国内外の批判とともにまとめられているが、信じられない思いしかない。
スタジオジブリが性差別的な発言を英紙インタビューでしてしまい、他の英紙にも報じられてしまってる件 - NAVER まとめ
Will Ghibli ever employ a female director? Nishimura fields this question.
“It depends on what kind of a film it would be. Unlike live action, with animation we have to simplify the real world. Women tend to be more realistic and manage day-to-day lives very well. Men on the other hand tend to be more idealistic – and fantasy films need that idealistic approach. I don’t think it’s a coincidence men are picked.”
ジブリが女性監督を雇うことはありますか?西村はこの質問にうまく答える(訳者コメント:「field=うまく答える」と直訳しましたが、これって皮肉も入ってるのかどうかはわかりません)
「どういう映画かによります。実写と違って、アニメーションでは、私たちは現実世界を単純化しなければならない。女性はより現実主義的な傾向があって、日々の生活をマネージするのがうまいです。男性は、一方、より理想主義的な傾向があって、そして、ファンタジー映画は理想主義的なアプローチが必要です。男性が選ばれるのは偶然だとは思いません。」
しかし誰が物語の根本を作ったかを考えると、いくら2002年に入社したとはいえ西村PDの発言は勉強不足という他ない。
後継者が手がけたものとして、『猫の恩返し』『借りぐらしのアリエッティ』『ゲド戦記』『思い出のマーニー』。
宮崎駿監督の『ハウルの動く城』『耳をすませば』*1『魔女の宅急便』に、高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』。
ついでにTVアニメの『海がきこえる』『山賊の娘ローニャ』*2もふくめて、どれも原作者は国内外の女性だ。
監督が原作者の場合をのぞくと、原作者が男性なのは『ホーホケキョ となりの山田くん』『火垂るの墓』『コクリコ坂から』だけ*3。
むしろ原作選定において、女性のつくった物語をとりいれる傾向があるといっていいくらいだ。
西村PDは、自社*4で自分が手がけた時期の作品すら把握していないのだろうか?
もちろん優秀な人材がいれば起用する、くらいの発言はできなかったのか?
ちなみに日本のアニメ業界の傾向として、女性監督の人数は近年になって増えてきたとはいえるだろう。
業界では珍しくない女性アニメ監督 - Togetter
今期の作品にも、今千秋監督による『美少女戦士セーラームーンCrystal』第3期や、森脇真琴監督による『プリパラ』などがある。
制作本数が増加した結果でもあるだろうが、下記エントリのコメント欄にあるように、きちんと育成しようとする会社もある。
日本の女性アニメ監督 - 法華狼の日記
きびしくいえば、スタジオジブリは後継者育成に失敗したから、旧時代のまま男女比のかたよりが表出している……というあたりが実態ではなかろうか。
あと、宮崎監督と高畑監督のスケジュールマネージがひどいのは周知の事実だが、それはふたりの問題であって、男性の傾向とはいえないだろう。