「世界史の稲田先生」は、ナチス政策を肯定する高校生の小論文を「思想はともかく、事実は問題なく、高校生のレベルではない」と評した人物として登場する。
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私にしても「少し情けないのでは」という感想を上記エントリで書いたが、おそらく本人の知らないところで不評を買って、一部でネットミームのように流通している。
匿名掲示板のスレッドタイトルでも、「世界史の稲田先生に非難殺到」と表記されていたりもしている。小論文についてツイートした田島圭祐氏本人は無視されているのに。
asahi.5ch.net
この「稲田先生」だが、同じ苗字で世界史関係の講師は複数いるが、田島氏が相談する同僚という立場から稲田真乗氏と思われる。僧侶でもあるようだ。
www.inadagobo.org
田島氏の過去ツイートにも信頼されている同僚として登場する。
こんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないし、単なる横担の色眼鏡かもしれないけれど、社会の予備校講師のプロって「仕上げ職人」ではないかと思うのよね。
— タジー(田島圭祐) (@tajimakeisuke) 2019年4月23日
国語科(特に現代文担当時)からすると、社会を仕上げてくれることがどれほどの安心につながるか。いや、もちろん全ての科目でそうなんだろうけれど、高成績横一列で、ピターと仕上げてくれる方がいるのよ。
— タジー(田島圭祐) (@tajimakeisuke) 2019年4月23日
僕の周りは皆そうだけれど、特に政経の佐藤俊彦さんと、世界史の稲田真乗先生は凄まじい仕上げ方をしてくださる。
その稲田氏が実際はどのようにナチスドイツをとらえているかについて、同僚の田中一平氏から誤解されないよう願うツイートがあった。
なお、「ナチスの政策を徹底的に肯定した」という点ですが、それは客観的な研究水準では有り得ません。「知識として正しい」というのも何を指しているのかを分かりません。
— 田中一平(大学受験日本史講師) (@heitin1015) 2021年2月8日付言しますが、ツイートで出てくる世界史の稲田先生は、同僚として非常に尊敬できる方です。知識も豊富にある方で、私には稲田先生が「知識として正しい」という発言をしたことが、誤解されないかどうかを心配しています。
— 田中一平(大学受験日本史講師) (@heitin1015) 2021年2月8日
また、授業資料をアップロードして、稲田氏がナチス体制を肯定するはずがないと指摘するツイートもあった。
「世界史の稲田先生」が炎上しているようなので。
— 有限会社チート式 (@B747_446D) 2021年2月9日
これは先生の授業資料からの引用ですが、「相互に矛盾するご都合主義的な内容」とある通り「ナチスの政策を徹底的に肯定」する方では全くないことを申し上げておきます。無論ホロコースト否認に代表される修正主義的歴史認識をお持ちでもありません。 pic.twitter.com/TWOe96NUOO
「統治」において「虐殺の有用性」を主張する文に「世界史の稲田先生」が太鼓判を押した?ますます理解ができない。そんなことは絶対しない。7年のうちに師に何らかのコペルニクス的転回があったというのか。というかあの人は学者以前に僧侶だぞ?ますます例のツイートが怪しく思えてきますね。
— 有限会社チート式 (@B747_446D) 2021年2月9日
発端のツイートを消した後の田島氏の補足では、「世界史の稲田先生」が評価したのは、あくまで教科書レベルの事実関係とのこと。
先輩に迷惑をかけてしまったので、そこは責任を感じております。今週中にご本人に謝罪をいたします。
— タジー(田島圭祐) (@tajimakeisuke) 2021年2月9日
また、以下をご参考くだされば。
事実は問題ない=示されている内容につき、世界史の教科書に記載されていることとの齟齬はない。
です。
受験予備校での指導ですので、当然その判断になります。
「高校生のレベルではない」という評価は謎だが*1、小論文に論証の不備がないことや有用性や合理性の基準といった根幹まで太鼓判を押したわけではなさそうだ。
*1:そもそも田島氏の表現に誇張や歪曲がふくまれていないと信用することは、正直にいって難しい。