法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』ラッキーアンラッキーSP

「国境を守れ! 米国境橋保安隊」は恒例の国境警備。基本的に荷物に銃やライムに麻薬を隠したりと犯罪者が多いのだが、今回は奇妙な老人の荷物によって混乱が発生する。
 老人は巨大な兵器のような金属の筒を自動車につみこんでいた。魚雷かと思われたが、イーロン・マスクのスペースXから切りはなされた燃料タンクをメキシコの漁師が拾ったので、約30万円で購入したのだという。
 危険ではないが拾得物なので法律上どうあつかうか税関職員が輪になって議論して、スペースXに連絡したところ返却してほしいとの回答があった。さらに老人が他に海岸で入手したというクジラの背骨も、保護動物ゆえにもちこみどころか保有そのものが禁じられていた。堂々と見せるくらいなので犯罪の意図がないことがわかるので、さすがに没収だけですまされたが。
 老人の帽子がスペースXなことはスタジオで指摘されるまで気づかなかった。それなのにスペースXがタンクの回収費用をしはらったりしていないらしいところが、イーロン・マスクらしいケチさだ。


「沈没船の宝」は、1715年7月に南米から財宝を運んでいた11隻の船がハリケーンでフロリダ沖に沈没。それを空中ドローンの金属探知などで見つけようとする男たちを紹介。
 トレジャーハンターはフロリダ州に許可をとって、夏の四ヶ月だけ宝探しをおこなう。見事に金貨を見つけることもあれば、手がかりと思った樽のタガが目当ての沈没船とは違うものだったりもする。しかし沈没船を4年かけて発見、つまれていたロイヤルコインの残り数枚もほとんど見つけることができた。そうしてそれなりの時間と手間をかけたが、7憶円にもなる財宝を発見した。
 ただし以前の発見*1と同じく、発見された宝の2割はフロリダ州が徴収する。さらにスタジオで指摘されたように、すぐ近くに海岸の住宅地が見えるような場所で財宝が見つかるところも興味深い。漁師によって宝の手がかりが見つけられたりと、ふしぎと一般社会と距離が近い宝探しだ。


「誘拐された娘 身代金の要求」は米国で多発する誘拐事件の紹介番組。今回は1年前に夫とわかれたシングルマザーに対して、体操教室におくった娘を誘拐したという電話がかかってくる。
 シングルマザーはあわてて金銭をかきあつめようとするが、犯人に口約束した金には足りない。親族をたよろうとするが誘拐されたと説明できないので何ももらえない。小切手換金所にいくと怪しげな連中がシングルマザーを見てくる。そして元夫と連絡をするが、おちあうはずの家はさしおさえられていた……
 てっきり元夫が犯人というパターンかと思いきや、遅れて登場した元夫が娘は無事に教室で体操をつづけていると説明する。実は誘拐などされておらず、標的の生活リズムにあわせて架空の誘拐を演じるバーチャル誘拐という近年急増している犯罪だったという。
 短編ミステリのようなトリックだが、誘拐というより振り込め詐欺の一種か。日本の一般的な振り込め詐欺より通報を阻害することができて、実際に誘拐するよりリスクが少なくてすむのだろう。その電話ごしの犯人がメキシコの、しかも刑務所にいる囚人という虚構ぶりもたまらない。まるで押井守作品かルパン三世のようだ。