法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『わんだふるぷりきゅあ!』第30話 わんだふるなキャッスル!

 鳥獣が人間の姿になれる鏡石は、かつてニコがもたらしたものだった。しかし人間が力をもとめて独占した歴史にニコは失望し、プリキュアの力をとりあげようとする。メエメエは懸命に説得するが……
 一方、街ではガオガオーンがあばれつづけ、人通りは消えて、犬飼家は傷ついた動物を受けいれる準備をする。心身が傷ついたいろはだけは食欲もなく、その場を去るが、こむぎが追いかけて……


 成田良美シリーズ構成の脚本で、これまでに登場した謎めいたアイテムや敵味方の関係について情報を開示する重要エピソード。
 以前にコメント欄で示唆してもらってやりとりしたが、まさに鏡石が敵の人間化の由来であったし、それもふくめてニコが力をあたえて人間がおかした罪の歴史として整理された。
『わんだふるぷりきゅあ!』第28話 大熊牧場で遊ぼ♪ - 法華狼の日記
 敵組織の幹部は異なる絶滅動物の人化のほうがバラエティがあって良いのではと思っていたが、なるほど同種であれば今回のように女幹部が首領に恋慕をいだく描写が自然になる。


 新アイテム披露回でもあるため、土田豊の演出、板岡錦の作画監督に玖遠らぎ原画など、映像面でも力が入っている。
 さまざまな動物の点描も良かったし、敵幹部が階段にいるようなアニメでは少し難しい高低差の表現もそつなくこなしている。広いモールの屋内を縦横無尽に動きまわるカメラワークも、通常回では難しい複雑なアクションも、水準以上の出来だった。
 助けた動物たちがプリキュアに助力していることを映像で表現するため、プリキュアひとりひとりが異なるキラリンアニマルの力を借りて、異なる殺陣をおこないながら映像が破綻していない。
 ただ、絶滅動物の痛みを癒すために新アイテムの力で浄化するというのは、販促番組としてしかたないところではあるが、ドラマとしてはカタルシスよりも肩透かしというのも正直な印象ではある*1プリキュアの奮闘および動物との信頼構築をニコが認めて新アイテムを与えたという流れなので、作品フォーマットを守りつつぎりぎりまで物語として成立させているとは思うが。

*1:カタルシスとカタスカシのダジャレではない。