スカイランドに異変が起き、ソラ・ハレワタールたちが駆けつける。そこにあらわれたのはカイゼリン・アンダーグと名乗る女性。アンダーグ帝国の支配者だという。
プリキュアが戦いで圧倒されるなかで時間が止まり、ソラ・ハレワタールと虹ヶ丘ましろ、プリンセス・エルは300年前に。そして初めてプリキュアが生まれた瞬間を知ることに……
金月龍之介シリーズ構成の脚本に土田豊の演出で、敵首領の過去を知る前編的なエピソード。
同じ展開をせめて半年前にやってほしかった。敵首領が全身をあらわすのも、攻撃の理由をにおわすのも今回が初めて。対話しようとするプリキュアとの対比を描きたいにしても、これまで敵が情報を発信しなさすぎて、対立する意思が衝突するドラマにならなかった。
ほとんどゲストと大差ない出番ながらアンダーグもプリンセス・エルレインも時間の経過による人格の変化が描かれていて、それなりに深みがあるキャラクターになっているだけに、この密度を通常回でももっと描けなかったかという惜しさを感じる。
念のため、『スター☆トゥインクルプリキュア』*1や『トロピカル~ジュ!プリキュア』*2のように、敵首領の動機の根本がこの時期に開示される遅さはシリーズの悪例でもある。しかしどちらも味方に情報を隠す意図や首領が消極的な意図が隠されていたし、明かされている情報だけでも説明不足になるほどではなかった。
今作は敵組織の情報を隠しただけの意味が、少なくとも娯楽としては見あたらない。何も語らない敵にプリキュアが語りかける構図は何度もあったたので、対話がメインテーマなのだとすれば敵が説明しない意味はあるが、ならばプリキュア側がもっと普段から敵を知ろうとして行動してほしかった。そうすれば物語の当面の目的も明確化されてキャラクターの行動動機がはっきりして見やすくなっただろう。