今回は恋愛については実験的なリアリティ番組の性質が強め。
「オランウータンの小学校」は、親を失ったオランウータンたちを育てるインドネシアにある施設を紹介。
自然へ帰した時のため、警戒心をもつようオモチャのヘビで怖がれば合格という、勇気を賞揚する人間の教育とは逆転した構図がおもしろい。猫車に稚児のようなオランウータンを数匹乗せて森へ移動する光景もかわいらしい。
また、食べる授業におけるバレンチノというオランウータンの行動がおもしろかった。最初はココナッツを割る授業であきらめて人間の教師に甘えて割ってもらったのだが、次の高い棒にさした果物を隣の樹にのぼってとる授業では地面におりて棒をもつ教師に近づいてそのまま棒をのぼって果物をとってしまった。要領だけはいい、それも大事だけどと教師がコメントしていたが、事実として状況にあわせた本当に最適な選択肢を見つけているように思えた。
しかし、オランウータンの行動にあわせて台詞をアフレコするのは気になった。現代の動物ドキュメンタリとしては擬人化しすぎだし、何より人間から離れさせるため教育している内容と齟齬がある。
「特殊メイクで老け顔になってお見合い」は、老人のようにメイクした男性4人を女性がみさだめるスペインの番組。女性側はひとりだが、母や祖母が同席してアドバイスをおこなう。
はっきりいって母や祖母の辛辣な男性評価が強烈すぎて、番組の趣旨が変わってしまっている。ひとりずつ脱落しては素顔をさらしていくのに、最後のふたりは素顔をさらしてから選択するし……女性側は母親に似せた特殊メイクをしているが素顔になっても変化をあまり感じないのも難。
最終的に祖母たちが反対する低収入の楽観的な男を女性は選んだが、スタジオで語られた後日談によるとふたりはもう別れたという。全体的に茶番感がひどい……
「中国 レンタル彼氏」は、両親から結婚をせっつかれている27歳の女性が、レンタル彼氏をつれて実家に帰るという番組。
ハンサムな彼氏にレンタルと知りつつのぼせていく女性から、完璧すぎる彼氏ゆえに両親から偽物と見破られ、実家を去った後は女性も彼氏もビジネスライクに距離をとって冷める……まるで古典的な物語のようなプロットをそのままなぞっていく。
あらゆる意味でフィクションじみたふたりのドラマのよりも、少しずつ未婚年齢があがっているという中国の社会変化そのものが興味深かったかな。
