法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第24話 目一杯の祝福を君に

 一度は止めた巨大レーザーの攻撃だが、議会連合は攻撃の手をゆるめない。さらにクワイエット・ゼロでは形勢が逆転し、侵入していたミオリネたちは拘束されてしまう。しかしミオリネは戦闘の前提がなくすことを宣言した……


 第17話*1以来の、大河内一楼シリーズ構成による単独脚本。販促で要請されるガンダム稼働描写を娯楽的にちりばめつつも、ほとんど物語を閉じるためだけに物語が進んでいく。
 死者と機械的に意思疎通ができる設定をつかって、良くも悪くもニュータイプ描写を思わせるようにキャラクターが再登場する。富野由悠季監督のような死者と会話するドラマが根本的に好きではないので、今回のような物語もやはり好きになれなかった。キャラクターのファンにとっては嬉しいサービスだろうとは思うが、それはエピローグの風景で充分だと思った。
 この作品が売りにして注目を集めた1話ごとの刺激的な展開も、物語を閉じる描写に追われた今回は見られない。登場人物が全体的に意外と理性的に動いていることもあって、全面的な対立がどれも抑制されている。テーマについて無理に答えを出すより誠実だが、娯楽として難でもある。


 ただ、もっと極端に楽観的か悲観的な、どちらにしても安易な方向で刺激的な結末になる可能性も予想していたので、意外とバランスをとりつつキャラクターを活用した最終回になったのは悪くなかったとは思える。
 各1クールで放送されながら1期も2期も途中で総集編をはさむくらいスケジュールの問題があった作品で、いくつかエピソードが抜けたような説明不足も時々あったが、現代日本の視聴者にとって受けいれづらいテーマやメッセージを受けいれやすい範囲でやりきり、きちんと人気をたもったことにも少し感心した。


 作画アニメとしては、村木靖をはじめシリーズでは珍しいアニメーターも多く集まった前回*2には負けるが、かきあつめたスタッフで最終回らしい画面にはなっていた。合体ロボット表現の一種をこの世界観で見せる主人公機のギミックが、玩具的で魅力的なことも間違いない。