法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season21』第20話 13~死者の身代金

昨年秋、官房長だった小野田の墓に特命係が墓参りした。サルウィンへ行っている間に小野田が死んだことに驚く亀山。しかし年が明け、亀山はさらなる驚きの事実を知る。小野田の墓には遺骨が入っていなかったのだ。小野田と同じように十三回忌をむかえた遺骨が十三人分、誰かに盗まれたらしいが……


輿水泰弘脚本による最終回SP前編。放送枠自体もいつもより十分ほど延長している。かなり予告で明かしていたが、回想出演の小野田だけでなく、元相棒の神戸や社美彌子など、出演可能そうなサブキャラクターが勢ぞろい。神戸と社が今回まで劇中で対面したことがなかったのはシリーズを見つづけていたが気づかなかった。
物語の本筋は、良くも悪くも『名探偵コナン』のようだった。かなり安っぽい作りの犯行予告映像から、数字に注目した謎解き。遺骨という死体を盗むという、重大そうで直接的な生命の危険はない事件。視覚的に解明される真相……
そう思っていたら、同時並行で描かれていた子供たちの風景から示唆された真犯人は、まさに『名探偵コナン』を逆転させたかのよう。元鑑識の米沢の鉄道愛好設定から犯人の移動経路を推理するのは根幹が偶然だが、亀山が思いついた指摘はシンプルでわかりやすい。


しかし次回に明かされる動機にもよるが、盗まれた遺骨のひとつが小野田だったことは本筋とは関係ない視聴者サービスにとどまりそう。
遺骨の共通点は十三回忌をむかえたことや、団塊の世代として敵視される年齢層というだけで、他の共通点が何もないと説明されている。つまりは前回*1と同じく、世代間の対立による無差別事件らしい。
しかし小野田が官房長官という国家の中枢に近い権力者だったことを思えば、もし世代間対立の物語を展開したいなら、それよりもまず政治の責任を問う展開に発展しなければおかしくなる。次回を見ないと判断はできないが。