法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』年の瀬にやらかしました!世界のおマヌケさん大集合SP

ラスベガス警察は、カメラの前ということもあってか、それともあまり凶悪ではない観光客が多いこともあってか、同種の米国警察物と比べてゆるい。
今回は街角で違法にビールを転売している男を見つけるが、失業したバーテンダーで生活に苦しいと聞かされ、多大な罰金の可能性を示して今回は解放する。
しかしティラノサウルスの子供を妊娠してしまったと言って救急車に乗っている男は、ちょっとTVに映すにはギリギリな感じがあった。特に泥酔やトリップしている様子でもないのが不安にさせる。


ノースカロライナ州からは、2007年に倉庫オークション*1でせりおとしたバーベキューグリルの中から、人間の足が出てきて始まる騒動を描く。
予告などでは何らかの凶悪事件かと思いきや、かつて飛行機事故で左足を切断した男が、その事故で死んだ父に見立てるため保存していたという真相だった。
普通なら返却して終わりそうなところ、購入した男は商売っ気を出して左足を見世物にしたりグッズを売って大儲け。倉庫を借りる金を滞納していた本人は抗議するが無視される。
やがてその想像は全米に飛び火して、購入者はTVにとりあげられる有名人になったり、ドイツのTV番組で本人と共演したり、TVで疑似裁判がおこなわれたり……
話題になることで価値が生まれ、それが商売になるサイクルがまわっている資本主義の寓話のような出来事だった……
ちなみに元の映画は『Finders Keepers』といい、2015年にNHKBSで『私の足をめぐる世にも奇妙な話』というタイトルの短縮版も放映されたという。Amazonレビューの情報によると、購入者は2016年に心臓麻痺で死んだとか。


最後はドバイから、自称黒魔術師のババニ・シソコに、銀行支店長が送金しつづけて339億円の損害を出した事件を紹介。
支店長はシソコの家に行った時、入れた金が2倍になって返ってくる機械を見せられる。アフリカに近いため黒魔術が信じられているドバイで、支店長はそれを信じてシソコに金を送りつづける。もちろん途中までは倍返しだが、最終的に姿を消すという詐欺だ。
シソコは国をまたいで送金させるため、ニューヨークに行って銀行窓口の女性と形式的に結婚し、審査をゆるめてもらう。豪放な生活をしていたシソコだが税関に賄賂が通じず収賄罪で収監、しかし慈善活動や弁護団に金をばらまいたおかげか43日禁固という軽微な罰で終わる*2
そしてシソコは姿を消し、支店長は罪に問われたが3年間禁固という、意外と短い刑ですんだ。シソコは国際指名手配されたが犯罪者引き渡し条約を結んでいない故国マリに逃げこみ、2002年から2014年まで国会議員をつとめ、その後は秘密の場所で住みながら79歳で死んだという。
世界の詐欺師はいろいろ興味があって読んだことがあるが、ここまで新しい時代にこのスケールの詐欺となると、逆に痛快とすら感じられた。

*1:ちょうど先月に紹介された。 hokke-ookami.hatenablog.com

*2:他の報道を見ると、25万ドルの罰金もあったが、逆に100万ドルの保釈金をはらって半分の期間で出所したとか。