法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キミとアイドルプリキュア♪』第28話 わんわん!きゅーちゃんと一緒!

 咲良うたと家族は、蒼風や紫雨とともに田舎の祖父に会いに行く。免許をとっていた田中も運転手として参加。
 話によると、きゅーちゃんこと犬のきゅーたろうは、もともと祖父母が飼っていて、祖母がなくなった時にうたに預けられたのだという。
 そして祖母を喪った悲しみを整理できていないうたや、うたを支えようとするきゅーちゃんの独白、そして三本杉の下に埋められた「宝」探しがはじまる……


 メインライターとして連続登板していた『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』への参加率が減っている井上亜樹子が脚本。コンテは河原龍太、演出は今千秋SD、作画監督は上田由希子と片山敬介が共同で。
 今回はBパートの作画が不思議と良い。本来のキャラクターデザインより少し面長になったり目と目がはなれている絵柄だが、とにかくCM明けの日常場面から動きに力が入っていて、全身が小気味よく連動して動く。アクション作画もボリュームたっぷり。
 物語は犬が独白する唐突さにシリーズ初代の類似エピソード*1を思い出したが、今作では人と同じように犬が敵によって怪物化する展開への地ならしになっていることや、結末で人と犬の意思が疎通しているのかどうかわからなくするテクニックで、ひとつのエピソードとしてまとまっている。
 そうして犬を物語の本筋で印象づけたことで、きゅーたろうが喪失の痛みを癒す存在だったことも印象づけられ、アイドルの存在意義と重なりあう。祖母と互いに癒しあった時から咲良うたが歌いはじめたという過去も、現在の「宝」で印象づけている。物語のポイントを回想ひとつにたよらず、きちんと現在の描写で支える意外なていねいさに感心した。